第一ライフグループCIO兼CDOはなぜインドに注目したのか?登用と育成の両輪で動かす“人のIT戦略”
「距離があっても機能する」グローバルIT組織のつくり方とは
日本企業に熱視線? トップIT人材を惹きつける戦略
世界的なIT人材争奪戦の中で、同グループはいかにして優秀な人材を惹きつけているのか。バーナム氏はその答えの一つとして、解決すべき課題そのものがインセンティブになっている点を挙げる。メインフレームの刷新や複雑な保険業務の自動化といった難題をあえて提示し、知的好奇心の強い人材を惹きつけていると指摘した。
もう一つは、インドにおける日本の再評価だ。インドの若者の間で日本の漫画やアニメが爆発的に流行していることなどから、日本企業で働くことがステータスの一つになっている現状に触れ、この文化的背景がインドの優秀な若手を採用する上で追い風になっていると指摘する。第一ライフグループは、外部からG-CDAO(Group Chief Data and AI Officer:最高AI責任者)やG-CISO(Group Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)といったIT戦略の重要なポジションを担うトップ人材を採用する一方で、こうしたポテンシャルを持つ若手層を社内で育成する両輪の戦略をとることで、高度なITスキルをもつ人材育成を着実に進めている。
CIO/CDOに必須の「オープンマインド」とは
大胆な改革には、当然ながら社内の抵抗や不安もともなう。キャップジェミニの殿村氏は「日系企業の特徴として、論理的な正しさだけでは人は動かず、感情的な納得を引き出す必要がある」という点に触れ、全社に関わる変革を成功させるためには「チェンジマネジメント」が欠かせないことを強調する。
これを実現するためには、“クイックウィン(早期の小さな成果)”を可視化することが重要だと同氏。特定の小さなプロジェクトでGCCとAIを活用して目に見える成果を創出し、その成功を見た周囲の人たちが「自分たちも参加したい」と思えるようなポジティブな連鎖を作ることで、組織変革が進んでいくのだ。
バーナム氏も、このプロセスにはリーダーの“オープンマインド”が欠かせないと付け加える。間違いを恐れず失敗から学び、必要があれば戦略を柔軟に転換する。CIOやCDAOといったリーダーが率先してアジャイルな姿勢を示し、自らもAIツールを使いこなす。そうした背中を見せることが、組織全体の心理的安全性を高め、変革を浸透させる近道となることを示した。
第一ライフグループのGCCは、設立からわずか1年でオーストラリアやアメリカ、そして日本のビジネスユニット向けに具体的なシステムデリバリーを開始するなど、明確な成果を出している。今後の成長を見据えたIT人材戦略の展望についてバーナム氏は次のように語る。
「これからは、社内外から集めたハイブリッドな優秀な技術専門家チームを組成し、日々変わっていく顧客の要求に対して前向きに対応できるチーム作りをしていきたいです。そして最終的には、企業や国境の垣根を越えた技術専門家がシームレスに連携する“ハイブリッドなIT組織”に成長させていきたいと考えています」(バーナム氏)
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