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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

BtoB SaaSは死ぬのか?生き残るのか? AIエージェント時代のアプリケーションビジネスの未来

「SaaS is Dead(SaaSの死)」を考える

企業に定着したSaaS 今後の導入をどう考える?

 米国株式市場の動向を見ると、SaaSビジネスの成長性に疑問符がついたことが大きな材料となり、2025年は下げ基調で推移した。市場が特に問題視したことの一つに、企業がSaaSを次々に導入したことで「SaaSスプロール」と呼ばれる、複雑性の高いシステム環境を持て余すようになった実情がある。

 そもそも、企業向けビジネスを運営するソフトウェアベンダーは、Microsoftを含めて既にSaaS企業である。少なくとも過去10年にわたるAIエージェント登場まで、CRMやERPなどのアプリケーションカテゴリーとしてではなく、マーケティング、セールス、カスタマーサービス、HR、ファイナンスなど、企業の事業運営を支えるテクノロジースタックの構成要素としてSaaSへの投資を続けてきた。

 「カオスマップ」と呼ばれる有力ソフトウェア企業のロゴがひしめく図を、一度は目にしたことがあるのではないか。企業・組織を立ち上げたばかりの頃は、Excelやコミュニケーションツールだけで日常業務を回すことができていても、事業成長にともない限界がくる。もちろん、大企業でもSaaSの恩恵を受けることなく、我慢しながら業務に従事する社員もいることだろう。しかしながら、事業成長と組織の成熟にあわせて、ビジネス機能単位のホリゾンタルSaaSから、規制要件や商習慣に対応できるバーティカルSaaSまで、1人のユーザーが多くのSaaSを使いこなすように変わった。

 とはいえ、あまりにもSaaSが増えてしまうと、テクノロジースタックの運用負荷の増大につながる。ユーザーが各種ツールを使いこなせるようになるまで、学ぶ時間も必要だ。

 そして、簡素化のニーズが高まった段階で登場したのがAIエージェントだった。AIファーストに転換しようとするSaaSベンダーではなく、しがらみのないAIネイティブ企業がこの悩みを解決してくれるのではないかという期待が大手SaaSベンダーにNoを突きつけた。

 とはいえ、新興のAIネイティブベンダーは、日本市場で存在感を示すに至っておらず、前段で見てきた通りSaaSは死んだのではなく、自身の再定義を進めているように見受けられる。これは新しい時代での生き残りであると同時に、既存顧客の投資を保護するためでもある。

 つまり、仮にAIネイティブテクノロジーをすぐに採用できたとしても、慌てて乗り換えを検討する必要性は感じない。

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時代遅れとなった「シートライセンス」モデル 成果型が主役に

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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