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みずほFGがAIエージェントの“量産体制”を確立 開発基盤「Wiz Base」で最大70%の工数短縮

AI CoEが「金融品質のガバナンス」と「アジャイル開発」の両立を主導

安全に高速に開発するべく、共通機能をプラットフォーム化

 内製開発ラボが高速に開発する上で、技術的な基盤となっているのが、2025年12月にリリースされた次世代AIエージェント統合開発プラットフォーム「Wiz Base」である。Wiz Baseは、AWSをベースに構築されたAI特化型の共有プラットフォームだ。

 齋藤氏は、「根本の考え方としては、アジリティとセキュリティの両立が必要でした」と振り返る。通常、金融要件(ネットワーク遮断、特権アカウント管理、監査証跡など)のクリアには個別アプリごとに膨大な設計コストがかかり、開発アジリティを阻害する要因となっていた。Wiz Baseの設計思想は、こうした共通の統制機能をプラットフォーム側に集約した点にある。

 Wiz Baseはクラウドインフラ、ミドルウェア、アプリケーション層という通常のシステム構造を踏襲しつつ、以下の共通管理機能をプラットフォームレベルで一括して有する。

 これにより、開発者はWiz Baseが提供するCICDパイプラインや共通テンプレートを利用し、非機能要件に悩まされずにビジネスロジックの開発に専念できる。

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 Wiz Base上で稼働させているのが、AIエージェントの短期量産と品質標準化を支える「エージェントファクトリー」だ。同ファクトリーには、「ヒト(開発の担い手)」「モノ(開発・運用基盤、共通テンプレート)」「ルール(統制)」を一体で設計することで、現場ごとに開発が乱立して非効率化する課題を解決する狙いがある。

 開発基盤では、リテラシーや用途に応じて次の2つのアプローチを併用する。

  • コード開発基盤(Amazon Bedrock Agent Core等):複雑かつ高度な業務用AIエージェントをスクラッチ開発するためのツール
  • ローコード基盤(Dify):ビジネスユーザーやエンジニアが、少量多品種のアプリや簡易的なワークフローをクイックに構築するための開発ツール

 これらに対し、ファクトリー側からAWS構築用のCDK(Cloud Development Kit)テンプレートや、AIと外部ツールの共通規格連携のための「MCP(Model Context Protocol)カタログ」を提供。これにより、インフラ構築のスピードが向上し、開発期間を最大70%短縮する効果を得ているという。

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 さらに、AIエージェント開発における全社ルール「AIOA(AI Oriented Architecture:エージェント開発における全社ルール)」を策定。齋藤氏は、「ビジネスユーザーもテック部門も、誰でも分かるように文章でアーキテクチャの標準をドキュメント化し、全社に浸透させることが重要でした」と語る。

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株式会社みずほフィナンシャルグループ デジタル戦略部 テクノロジー第二チーム 次長 齋藤悠士氏

自社特化モデル「みずほLLM」を開発中 3段階でアプローチへ

 AIエージェントの性能を自社の業務に合った形にするために、独自の「みずほLLM」の自社開発も推進中だ。汎用モデルでは対応が難しい与信判断や稟議生成、行内マニュアルに基づく手続き案内などの専門業務への適用を想定している。

 みずほFGはオープンウェイトのLLMをベースに、金融の法規制、開示資料、研修マニュアルなどの内部データを幅広く追加学習させるロードマップを展開している。

  1. 金融特化LLM:金融規制・法令や研修資料など、金融の専門知識を追加学習させた基盤モデル
  2. 特定領域特化LLM:金融特化LLMに、与信判断や稟議書作成、手続き案内など、業務領域の理想的な回答データを集中的に追加学習させた実務特化モデル
  3. 協調型エキスパートLLM:法務、融資審査、市場分析など、個別に特化した複数の特定領域モデルを自律的に連携・協調させ、複雑な案件を総合分析する最上位モデル
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 既に、新入行員向けの実務テストを解かせたところ、目標の合格ラインである80%を大きく超える90%の精度を記録したという。「これは、世の中の汎用モデルと同じか、それ以上の極めて高い精度に到達しています」と、齋藤氏は自社開発モデルの手応えを語る。

次のページ
次々に開発されるAIエージェントをどう管理する?

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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