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EnterpriseZine Day 2026 Summer レポート

みずほFGがAIエージェントの“量産体制”を確立 開発基盤「Wiz Base」で最大70%の工数短縮

AI CoEが「金融品質のガバナンス」と「アジャイル開発」の両立を主導

次々に開発されるAIエージェントをどう管理する?

 AIエージェントが各ビジネス部門に普及して数百、数千と量産されるようになると、各部署が個別にエージェントを開発することによる“野良エージェント”の生成や利用コストの急騰、品質・ガバナンス制御という課題に直面する。そこでみずほFGでは、エージェント管理に「ワークフロー設計」と「管理の4本柱」を適用することにしたという。

 ワークフロー設計では、入力→処理→出力という基本的な構造に対し、思考プロセスや挙動の品質モニタリングおよび評価フィードバックを、24時間、都度実行することを徹底している。

 加えて、齋藤氏が「エージェント管理は人材資源管理に酷似している」と指摘する通り、以下の4本柱による統制を敷いた。

  1. パフォーマンスモニタリング:思考過程をトレースして可視化(思考の観察)し、人間(Human in the Loop)または自動評価によって品質を常時測定
  2. コスト管理:API利用料や推論コストを最適化するため、オーバーペックなLLMを検知して適宜「スリム化」や安価な簡易モデルへの切り替えを行う
  3. インベントリー管理:エージェントごとにIDや役割を一元管理し、野良エージェントの重複開発を未然に防止
  4. アクセス権限管理:最小権限の原則を適用するが、過剰な制限はAIの自律性を阻害するため、モニタリングのフィードバックをもとに最適な動的アクセス制御を探る
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 さらに、AIエージェントの再利用性と疎結合性を高めるため、マイクロサービスを前提とした「4層の階層モデル(LV0:オーケストレーター〜LV3:サブタスクモジュール)」を規定。この階層モデルを基に、業務グループの階層別にAI適用状況を一覧化した「業務×AIエージェントマップ」を作成し、現在多くの事業本部で独自のマップ整備が進んでいるという。

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 4つのユースケース:現場導入で業務削減の効果を確認

 Wiz Baseと内製開発ラボにより、既に現場で4つのアプリケーションが実装されている。

1. 法人営業支援「RM Studio」

 外部ニュースや顧客財務などのデータを独自のAIデータプラットフォーム上に集約し、インサイトの抽出から個別提案資料、面談後のレビューまでをワンストップで支援するシステムだ。導入により、法人営業担当者の事前準備時間を約50%短縮し、顧客との対話時間が3倍に増加を目指す。2026年度中にグループ全体で約3,500名への展開を計画している。

2. リテール顧客向け対話型AIアシスタント「あおまるバンク」

 お客さまの状況やニーズを対話の中で自ら把握・判断して対応を行うAIエージェント。特にニーズの高い「お問い合わせへの回答機能」から、将来的には「各種お手続き」や「資産形成・運用のご相談」へと段階的に対応領域を拡張し、一人ひとりに寄り添った銀行体験の実現を目指す。2026年9月より一般向けにサービス提供を開始する予定だという。

3. 面談記録・議事録作成支援「めんきくん」

 iPhoneやiPadでアプリを1タップするだけで会議の録音が開始され、終了後に自動で話者分離・テキスト化を施した上で、指定の議事録テンプレートに変換してメールで送信される。導入により、1人あたり月間4時間以上の時間を削減。議事録作成・手直しにかかる作業の実に70%以上の自動化を達成している。

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4. スライド自動生成「みずほスライドジェネレーター」

 チャットUIから自然言語で指示を送るだけで、独自の社内スライド様式やコンテキストを反映したPowerPointスライドを数分で自動生成するサーバーレスアプリ。スライド作成にかかる時間を最大70%削減しているという。

* * *

 みずほFGが厳重なセキュリティを課される中で成し遂げたアジリティとセキュリティの融合は、自社のAI活用に悩むITリーダーにとって希望となるだろう。「セキュリティの懸念があるからAI開発を進められない」と諦めるのではなく、Wiz Baseのように非機能要件をまとめた共通基盤を整備し、エージェントファクトリーによって開発の標準化とルール共有を図ることが、企業AI普及のブレイクスルーとなる。

 講演の最後に齋藤氏は、視聴者に向けてこのようなメッセージを寄せた。

 「かなりいろんなことをやっているというのが正直なところです。作るもの自体はビジネスごと異なるものになりますが、作る上での考え方は、何かしら参考にしていただけるものがあるのではないかと思っています。何か1つでも日々の取り組みのヒントにしていただければうれしく思います」(齋藤氏)

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/24565 2026/08/06 09:00

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