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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

Cisco Live!

AMDのCIOに尋ねる──企業の価値をAIが左右する今、その裏方を支えるIT部門をどう評価すべきか?

AIのトークンもこのままでは……解決策は「トークンを使いながら最生成する」、いったいどうやって?

 AIが普及する一方で、ITインフラの運用には新たな重荷が課されている。そして、その実行を担うIT部門はどうなってしまうのか。また、膨らむ負荷とコストをどう統制すればよいのか。米国ラスベガスで開催された「Cisco Live! 2026」にて、AMDのCIOとCiscoのCPOという、AIインフラの構成を担う重要なファクター同士が対談する一幕があった。AIインフラのパフォーマンス問題、IT部門の運用負荷と評価問題、そしてAIのトークンが高すぎる問題について意見が交わされた。

AIインフラが稼働する裏で、IT部門に新たな負荷がのしかかる

 冒頭、AMDでCIOを務めるランジャン氏は、企業のIT部門の役割における30年の変遷を振り返る。かつては、購入したインフラを自ら運用し、スタックを維持することがIT部門の仕事だった。しかし、10年ごとに抽象化が進み、そのたびにITが生み出す価値は大きくなっていった。

 そして今、我々はAI時代の到来を迎えている。AIエージェントやAIシステムの普及により、ネットワークのトラフィックが約4倍に膨れ上がり、人々の働き方も大きく変化しつつある。これだけ聞けば単なる変化の一つに思えるかもしれないが、実際には、変化の裏でそれを「成り立たせる者」が必要だ。これが、新たなIT部門に課された役割であり、“重荷”であるとランジャン氏は述べる。

AMD シニアバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者) ハスムク・ランジャン(Hasmukh Ranjan)氏
AMD シニアバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者) ハスムク・ランジャン(Hasmukh Ranjan)氏

 となると、IT部門としても新たな視点や常識を持たなければいけなくなる。でなければ、IT部門が「価値を生む暇」などいつまで経っても生まれてこない。具体的には、土台の細かな運用は“仕組み”に任せ、あまり価値を生まない部分のトラブル対応に追われる状態から抜け出さなければならない。

 ランジャン氏は「これからの時代、IT部門が価値を生み出せないことはゼロどころかマイナス、つまり『ダメージ』になりうる」と指摘する。雑事が整理され、エンドツーエンド(E2E)で適切に制御できるインフラこそが、これからのIT部門には不可欠だ。

「機能するAI」を構成する三階層、世間の関心の偏りを問題視

 なぜ、世界中の誰もが一様にAIを使いこなし、生産性を100倍に高められないのか……。CiscoでCPOを務めるパテル氏は、AIという破壊的な道具を導入しても、必ずしも全員の生産性が劇的に向上するわけではない現実に触れた。

Cisco Systems プレジデント兼CPO(最高製品責任者) ジートゥ・パテル(Jeetu Patel)氏
Cisco Systems プレジデント兼CPO(最高製品責任者) ジートゥ・パテル(Jeetu Patel)氏

 この問いに対し、ランジャン氏は最も根源的な原因として、「データの価値が軽視されている」点を指摘した。皆さんも、AIモデルの性能だけでなく、足元を担うインフラの良し悪しとデータ整備も重要だということは既にご存じだろう。同氏は、AIを3つのスタックで捉えている。

 第一に、データを流す「配管(Plumbing)」にあたるインフラ層だ。いわゆるAIインフラという言葉で最初にイメージされるデータセンターは今や完全に様変わりし、計算時間のさらなる短縮に向けて、ネットワークは桁違いの速度へと向かっている。続く第二に、「整理・厳選されたデータ(Curated Data)」、社内に良質なデータセットを持たないまま新しいフロンティアモデルを導入しても意味がない。そして第三に「エージェント(Agentic AI)」、データの筋道を極めて明快に整えた先に、ようやくエージェントとその活用が見えてくる。

 「期待通りのパフォーマンスを出すAI」に必須のこの三階層を、ランジャン氏は頭文字を取って“PCA”と呼ぶ。同氏は、市場の関心がAIに集中する一方で、配管やデータ整理の側にはほとんど目が向けられていない現状を問題視している。AMDの場合は、これらの領域を一通り押さえ、データセンターを全社の起点として整えたあとで、他の領域に進出し事業を運営してきたという。

次のページ
IT部門の成果を測る“KPI”も見直すべき?

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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