AMDのCIOに尋ねる──企業の価値をAIが左右する今、その裏方を支えるIT部門をどう評価すべきか?
AIのトークンもこのままでは……解決策は「トークンを使いながら最生成する」、いったいどうやって?
IT部門の成果を測る“KPI”も見直すべき?
プロジェクトごとに成果を分析し、その良し悪しを判定する従来の評価では何も生まれないというのがランジャン氏の考えだ。では、CIOとして何を成功の尺度にしているのか……。そうパテル氏が問うと、ランジャン氏は2つの指標を示した。1つ目は「支出対効果(Spend Ratio)」だ。AIや便利なシステムで一人あたりの効率向上を目指す以上、従業員一人ひとりの運用コストも管理しなければならない。
そして、2つ目は「カバレッジ比率(Coverage Ratio)」である。金融の世界では、「最悪の事態(ストレス期間)でも十分な支払い能力があるか」を測る財務指標としてよく使われる。これをIT部門の評価に適用した上で、従業員数をIT担当者数で割った値を算出するという。これにより導き出されるのは、「IT担当者1人につき、何人の従業員を支えているか」という数字だ。
もちろん、業種によって妥当な水準は異なるが、AMDの場合は現在、30台後半に達しているという。つまり、従業員およそ30人に対してIT担当者が1人ついているイメージだ。これはIT担当者を追加で採用しろという意味ではなく、IT部門自体の生産性を向上させることで、この数字はどんどん良くなっていくという意味だ。ランジャン氏がCIOに着任した当初は、これよりもはるかに低い数字だったという。つまり、様々な工夫を通じて着実にIT部門の生産性を押し上げてきたということだ。
パテル氏も、Ciscoの社内向けIT部門における従業員一人あたりの生産性が、ここ数年で劇的に向上したと明かした。しかし、それは単に採用によって向上したのではない。なぜなら、全体の従業員総数も増加しており、そのペースに合わせてIT部門の人員も積み増せるほどの予算はないからだ。これを受けてランジャン氏は、「IT部門はこの30年間、自動化の達人であり続けてきた」と語る。他部門よりも人員増があと回しにされがちなIT部門では、少ない人数でより多くの仕事をこなす姿勢が文化として染みついているからだ。
AMDでは、社内で望む者ほぼ全員にAIエージェントが行き渡るよう運用を進めている。投資の重点をAIに置くことは前提として、最も複雑かつコストを要する業務から着手するのが基本方針だ。AMDで最も複雑な業務は「ソフトウェアエンジニアリング」だとランジャン氏。その次に、RMA(返品保証対応)をはじめとするサプライチェーンの各局面、さらにはIT部門そのものへとAIの適用範囲を広げてきた。どこに最もコストが投じられているかを見極め、そこから手をつけるアプローチである。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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