SCS評価制度に欠かせない「4つの管理サイクル」 評価結果を実務に組み込み、事業損失を防ぐために
第2回:SCS評価結果を企業価値に変える管理の仕組み
経済産業省および内閣官房 国家サイバー統括室によって整備が進められている「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」、通称「SCS評価制度」への関心は高まるばかりだ。企業におけるセキュリティレベルを「★3~★5(3つ星~5つ星)」で評価するもので、準備を進める企業も少なくない。では、単に認定マークを取得するだけで十分なのだろうか? 本連載では、「企業価値の向上につなげる」をテーマにSCS評価制度をみていく。
経営判断を一過性で終わらせないために
前回は、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」を企業価値の向上につなげるため、経営者が「優先的に対応すべきリスク」「事業継続力の実効性」「評価結果の経営資産としての活用」を考える必要があることを示した。では、これらの判断を一度限りで終わらせず、“日常の経営管理”として機能させるためには何が必要だろうか。
SCS評価制度は、ある時点の対策状況を共通基準で可視化するものだ。しかし、事業環境やシステム、取引関係、脅威は変化するため、評価実施時の状態がその後も維持されるとは限らない。同制度を企業価値につなげるためには、評価結果を起点として変化を捉え、事業への影響を見極め、必要な判断と改善を繰り返す仕組みが必要だ。
この仕組みは、下記4つの実務プロセスを通じて実現できる。
- 評価結果と対策状況の変化を把握する
- 自社への影響を評価し、重要な事項を経営層へ報告する
- 経営層は対応方針と資源配分を決め、現場が実行する
- 対策の有効性を確認して見直す
本稿においても架空の製造業A社を例として考えてみよう。
同社では、SCS評価制度への対応を通じて規程や手順は整備したものの、改善すべき課題の把握、経営層への報告、経営資源の配分、効果測定が個別に行われており、一貫した管理体制を確立できていなかった。
社長:SCS評価制度で見えた課題を誰が、どの基準で経営判断につなげて、その後の改善まで確認するのか。
CISO(最高情報セキュリティ責任者):評価結果を企業価値につなげるためには、現場で把握した変化を事業影響に置き換え、経営層が判断し、実行結果を確認するまでを「1つの管理サイクル」にする必要があります。
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酒井 慎(サカイ シン)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 リスク・コンサルティング アソシエートパートナー金融機関向け決済ネットワークの企画・開発業務を経験後、IT戦略、ITガバナンス、サイバーセキュリティ領域を中心としたコンサルティングに従事。FinTech分野におけるリスク管理や業界標準策定にも携わる...
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多田 優里(タダ ユリ)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 リスク・コンサルティング シニアマネージャーSIerにてグループウェアをはじめとするインフラ・アプリケーションの設計、開発、運用保守およびプロジェクトマネジメントに約15年従事。その後、クラウドおよびセキュリティコンサルタントとして、クラウド戦略策...
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