2026年10月28日、Blucorは記者向けに説明会を開催した。
同社は、現場職(ブルーカラー)を対象にAI採用プラットフォームを提供するスタートアップ。米国でサービスを展開しており、顧客の半数は製造業だという。創業者 兼 CEOの則俊慶太氏は、「日系企業の現地法人でも導入が進んでいる」と話す。同氏はクックパッドで採用責任者を務めた後、日本でホワイトカラー向けの採用サービスを、サンフランシスコでエンジニア採用サービスを手がけ、現在の事業に至ったという。
則俊氏は、Blucor創業の契機として次のようなエピソードを紹介した。
「ある日、ニューヨークの精肉店にフランス系の黒人男性が『Give me a job』といって入ってきた。話を聞くと、Indeedを一度も使ったことがないという。10年前に職業紹介所で手伝ってもらって書いた書類の写真を使い回していて、Snapchatのカメラロールから送っていた。話すうちに彼が電気技師だとわかり、最適な会社を紹介したことで採用が決まった。どれだけスキルがあっても、それが適切に評価される仕組みがなければならない」
米国では、労働人口約1.7億人のうち約8000万人がブルーカラーとされる。移民が多く、建設分野の現場職では3人に1人以上が外国生まれだという。製造業の75%が人材確保に苦戦している一方、前述したスキル評価の課題や言語の壁もあり、マッチング率は依然として低い状況だ。加えて、米国は離職率が高いため、企業は大量採用をつづけざるを得ない。リクルーターの手作業も重なり、採用に膨大な工数を要しているという。
こうした採用領域でもAIの活用は広がっている。IndeedではAIが候補者に声をかけ、Workdayに買収されたParadoxでは面接日程の調整をAIが担うなど、業務工数の削減に注目が集まっている。
Blucorでは、「Hope」と呼ばれるAIエージェントが核となるソフトウェアを提供する。AIエージェントが応募書類を読み取るだけでなく、電話での応対だけで応募書類を作成することも可能だ。その後、電話面接での応対、面接結果に基づくレポートの作成までを行い、採用管理システムに入力してくれる。また、AIが候補者に対応可能な言語を尋ね、スペイン語やポルトガル語など、希望する言語で面接を進めることもできるという。
「AI面接を受けた候補者からの反応はポジティブだ。(州法を受けて)AIによる対応なのか明示することもできる。AIが担うのはあくまでレコメンドまで、最終的な採否は人が判断することを重視している」(則俊氏)
導入事例として、Twin City Fanでは、Blucorの導入後に40名のスクリーニングを72時間で終えられるようになり、月次の採用コストを78%削減できたという。また同日、伊藤忠商事を親会社に持つITOCHU Building Productsへの導入も発表された。同社では応募から内定通知までの期間が44.4日から6.5日に短縮されたとし、候補者体験の向上とプロセス改善を両立できる点が評価されたという。
BlucorのAIによるスクリーニング数は前年同期比16倍、売上高は同4.5倍に伸びている。今後1年間で1,000拠点への導入を目指すほか、日本企業・日系企業の海外展開支援にも注力し、東南アジアや欧州への進出も視野に入れているという。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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