スマートメーター導入までの長い道のり
みなさんの家庭に、スマートメーターはついているだろうか?「ついている」と答える人はそう多くはないだろう。
2010年6月18日に閣議決定された「エネルギー基本計画」には、今後、スマートメーターと、それに連動するエネルギーマネジメントシステムの開発や整備を推進していき、「2020年代の可能な限り早い時期に、原則全ての需要家にスマートメーターの導入を目指す」と記されている。
同計画の別の部分では「スマートメーターの普及等による国民の「意識」改革やライフスタイルの転換といった国民運動を活発化し、2030 年までに「暮らし」(家庭部門)のエネルギー消費に伴うCO2 半減を目指す」とも書かれており、スマートメーターが低炭素社会を実現するために重要な役割を果たすことが伺える。
また、米国でスマートグリッドの標準化やセキュリティの検討を行っているNIST(米国国立標準技術研究所)が示したスマートグリッドの概念モデルには、スマートメーターが家庭(あるいはビル、商業施設、産業施設)と外部とをつなぐ接点として表現されており、「エネルギーサービスインタフェース」と呼ばれている。
このように、スマートメーターはスマートグリッドにおいて欠かすことができない重要な要素ではあるが、日本では、先ほど紹介したエネルギー基本計画で示されたペースで順調にスマートメーターの導入が進んだとしても、わたしたちの家庭すべてにスマートメーターが導入されるまで、あと10年以上の時間が必要となる。
比較的スマートメーターの導入が進んでいると思われているアメリカでも、2009年末の導入実績が1,100万世帯程度だという数字がある。アメリカの全世帯数は2000年の国勢調査で1億世帯を超える規模だったので、その前提で言えば、現在の導入率は10%前後となる。
イタリアのように、盗電対策という明確な目的を持ってスマートメーターの導入を完了した国は別として、多くの国では、費用対効果などの導入にあたって考慮しなければならない課題を検討しながら、ある程度の時間をかけて導入を進めていくことになるだろう。