着々と成果を上げる韓国の情報化推進政策
韓国政府の情報化推進の取り組みは、約10年前に遡る。1999年に「Cyber Korea 21 Plan」を初めて策定。2006年に「e-Korea Vision 2006」、2007年に「Broadband IT Korea Vision 2007」、「u-KOREA計画」に続き、2008年には「国家情報化基本計画」等を次々に樹立。当時の政権の選挙公約として「ICT立国」を掲げ、この目標に向けて着々と成果を上げてきた。
こうした韓国政府の情報化推進に伴い、2001年には経済協力開発機構(OECD)による世界超高速網の構築において世界第1位に選ばれ、インターネット利用者数は2000万人を突破した。さらに同年に、世界初の移動電話動画商用サービスを開始し、2005年に同機構が選ぶ人口100名あたり超高速インターネット普及率が世界第1位。さらに2006年に世界初の移動無線インターネットサービスが実施され、2009年には国連が選定する世界電子政府ランキング第1位に躍り出るなど、国内外から成果を大いに評価されることに至った。
他方で、国土の3分の2以上が険しい山であることから、平野部であるソウル市周辺やブサン広域市、仁川広域市周辺等に全人口の半分以上が密集して暮らしている。このため、都市への人口の集中化が進む半面、地方は人口の急減、高齢化等が急速に進み、地方経済は疲弊し、都市と農村の間の経済格差が一層激しくなっている。
さらに、情報化格差も拡大し、それらが教育格差やさらなる所得格差を広め、一層の地方離れを招く悪循環ともいえる状況であった。こうした国内状況を踏まえ、韓国政府は電子政府・電子自治体推進の一環として、ICTを使い地域経済活性化と都市から農村への人々の移動で賑わいを取り戻すための政策を考えた末に生まれたのが「情報化村」だ。(次ページへ続く)