はじめにマーク・テンプルトン氏は「シトリックスの目指してきた仮想的なコンピューティングのインフラの世界が実現しつつある。そしてこれからはさらに大きな変革がもたらされる。それはコンシューマライゼーション--非ITの人がITの意志決定をするという世界だ。企業においては、営業部門、マーケティング部門などの人間が、SaaSの利用などを通じてITの意志決定をおこなう時代。企業のIT部門はこうした変化に対応していかなければならない。」と語り、さらに「これまでの人々の生活時間が、仕事とプライベートという明確な区分が無くなり、それぞれの時間が断片化し、スライス上になっている。この生活の変化をもたらすのは、スマートフォン、タブレット、ラップトップという3つのデバイスである」と今のビジネス環境に対する考察を語った。
さらにテンプルトン氏は「ポストPCの時代という考え方はまちがってる」と発言。氏によると現代は「3PCの時代」であるという。ただしこの場合の「PC」は「パーソナルクラウド、プライベートクラウド、パブリッククラウド」を指すのだという。こうした動向の中で、IT部門は従来のTCO削減という発想から、TVO(Total Value Ownership)を増進し、人を中心にしたシステムのアグリゲーションとオーケストレーションという発想に切り替えるべきだと主張した。
シトリックスのこうした考え方に沿って、今回紹介された製品が、「Personal Cloud Receiver」
「NetScaler Cloud Gateway」「Cloud Bridge」などである。いずれも、5月にサンフランシスコで開催された「Citrix Synergy 2011」で発表された製品。
「Personal Cloud Receiver」は、先にのべたパーソナルクラウドという分野で、PC、Mac、タブレット、スマートフォンなど様々なデバイスをデスクトップ仮想化(VDI)で活用する製品。今回はiPadなどを中心にしたブラウザ用も発表された。そのコアにあるのが、Citrix HDX(High Definition eXperience)というテクノロジーであり、今回パフォーマンスを3倍に向上させたという。
また「NetScaler Cloud Gateway」はデータセンター向けの「フロントドア」として、SaaS、ウェブ、Widowsアプリケーションなどを単一の視点で利用可能にするもの。「Cloud Bridge」はデータセンターの「バックドア」として外部のクラウドサービスやホスティングサービスにシームレスに接続するソリューションである。
さらに、テンプルトン氏はプライベートクラウド、パブリッククラウドへの取り組みとしてシトリックスの「Project Olympus」を強調した。
これはOpenStackによるクラウド基盤ソフトウェアを、シトリックスのXen ServerバージョンやOpenStackAPIと連携した様々なソリューションとして供給するもの。
「DaaS」(デスクトップ仮想化)の領域ではトップシェアのシトリックスだが、こうした「3つのPC」に関連するテクノロジーでは、パートナー企業を通じて提供していくと、テンプルトン氏は語った。