分散オブジェクトベースストレージとは
EMCジャパンは11月29日、インターネットプロバイダなどを対象にした分散オブジェクトベースのストレージ製品「EMC Atmos 2.0」の販売および出荷を開始したことを発表した。日本ではオブジェクトストレージ自体がまだあまり普及していないが、EMCジャパン マーケティング本部 マーケティング・プログラム推進部 ストレージ製品 マーケティング・マネジャー 中野逸子氏は「Atmos 2.0はクラウドとビッグデータの時代に最適な、複数のサイトにまたがって1つの大きな"容器"を透過的に作ることができるスケールアウト型のストレージ。インターネットサービスを提供するプロバイダはもちろん、国内SIerとの協業や現業のお客様への提案も視野に入れていきたい」と国内での事業展開に意欲を見せる。
分散オブジェクトベースストレージとは、データ(コンテンツ)をファイル単位ではなくオブジェクト単位で保管するストレージ。従来型のストレージと比較して、
- ストレージのロケーションにかかわらず、単一のネームスペースを利用することが可能→透過的なデータ共有
- ストレージ増設時にはマウントポイントを追加する必要がない→グローバルレベルのスケールアウトが容易
という特徴をもつ。Atmos 2.0の場合、とくに拡張性に関しては「論理的には無制限にスケールアウトが可能」(中野氏)という高い柔軟性をもつ。コモデティ化されたハードウェアを利用できるため、TCOを低く抑えられるという点もメリットのひとつだ。
今回発売されたAtmos 2.0は、米国ではすでに100社以上での導入実績をもつ製品。eBay、AT&Tなど、「インターネットを経由したペタバイトクラスのデータ、数億のオブジェクトをマルチサイトで扱うグローバル企業での採用が進んでいる」と中野氏。拡張性やコストという面だけでなく、コンテンツ(オブジェクト)のライフサイクルに応じた保護ポリシーの適用により、「高い品質のサービスが提供可能」(中野氏)と強調する。
提供形態は、3つのモデルから構成される専用ハードウェアと、VMware vSphereおよびvSphere対応ストレージで動作するバーチャルエディション「Atmos Virtual Edition」の2つがある。専用ハードウェアは、ラックあたり最大240TBの「WS2-120」、最大480TBの「WS2-240」、最大720TBの「WS2-340」があり、いずれもIntel Xeon 5500が搭載されている。価格はいずれも個別見積もりとなっている。
なお、EMCジャパンはAtmos 2.0の発売と同時に関連製品として次の3つの製品を発売する。
- Atmos Cloud Delivery Platform … 課金情報の生成や認証情報サービスなどAtmos 2.0を利用したクラウドサービスの提供に必要な周辺ソフトウェアをパッケージ化したもの
- Atmos GeoDrive … Windows/Linuxに対応した無償の仮想ドライブ機能
- Cloud Tiering Appliance(旧Raiinfinity Appliance) … EMCや他社のストレージ製品上のファイルをAtmosに構築されたクラウド環境にアーカイブするアプライアンス