FileMakerの特性
カード型データベースから、最新の技術を取り入れ続けて独自の進化を遂げてきたFileMaker。エンタープライズ用途の大規模なアプリケーション開発に利用されているOracleやMicrosoft SQL Serverと比較すると、FileMakerでは個人用途から部門レベルの業務といった、小規模~中規模のワーキングアプリケーション開発に特化していると言えます。
ワーキングアプリケーションで担う業務は、実際の業務が行われている現場で目まぐるしく変化しがちです。それ故、会社の開発部門のリソースがワーキングアプリケーションに割かれることはなかなかありません。これらのアプリケーションは、パソコンに詳しい社員が、Excelなどの表計算ソフトやフリーソフトを用いて、日々の業務をおこなっていることが多いことでしょう。
カジュアルデータベースの雄、FileMakerでは、このワーキングアプリケーション開発との相性が抜群です。
学習コストの低さ
アプリケーション開発にプログラミング言語の習得は必要ありません。画面の設計や処理の記述はすべてGUIでおこなえます。
開発、仕様変更から実施完了までのスピードの速さ
テンプレートやウィザードを利用することで、画面や帳票、グラフを簡単に素早く作成できます。画面デザインに加え、データベーススキーマやリレーション定義もオンザフライで変更がおこなえるので、業務を止めることなく機能拡張がおこなえます。
多種に渡るファイルサポート
ExcelやCSVファイルをはじめとした、多種に渡るファイル形式のインポート/エクスポートをサポート。既存の資産をそのまま利用でき、ほかのソフトウェアとの連携もおこなえます。
データベースもインターフェースも1ファイル
FileMaker Proデータベースファイルは、fp12ファイルに集約されています。同じような業務をおこなっている人にアプリケーションを渡したい場合は、fp12ファイルを渡すだけです。複数ユーザで共有で使いたい場合は、FileMaker Serverを用います。
Web連携
アプリケーション内にWebブラウザを組みこみ、外部Webアプリケーションとの連携が可能です。Google Mapsといった外部APIや、社内向けWebアプリケーションのAPIと連携して、より専門的なアプリケーションの構築ができます。
初期状態でPDF出力、Web公開機能をサポート
特別なソフトウェアをインストールすることなく、PDFの出力、Webアプリケーション化がおこなえます。FileMaker Serverを導入することで、フルカスタマイズのWebアプリケーションも構築できます。
マルチプラットフォーム対応
FileMakerはマルチプラットフォームに対応しています。作成したFileMakerファイルは、Windows/Mac上ではFileMaker Proで。iOSデバイス上ではFileMaker Goで操作できます。iOSアプリケーションも、デスクトップアプリケーション開発同様高速に開発可能です。なお、現在の最新バージョンであるFileMaker Go 12は、無償にて提供されています。
ODBC/JDBC、外部SQLデータの利用
各種データベースドライバを用いることで、リアルタイムのデータ連携が可能です。
各種プラグイン、外部スクリプトとの連携可
足りない機能はC言語による機能拡張や、外部のプログラムを起動して目的を達成できます。プラグインはサードパーティ製の製品も数多く発売されており、さまざまな機能を拡張できます。
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数万~数十万のレコードを取り扱うエンタープライズ用途での処理は、SQL系データベースのパフォーマンスに及びません。しかし実装から運用開始までのスピードや、学習コストの低さ、カスタマイズ性はほかのデータベースを抜きん出る性能と言えるでしょう。