大方針を決める
当記事における"EUC(エンドユーザーコンピューティング)"とは、ノーツ移行の原因になったEUCに限る。なぜなら、一般論でのEUCは賛否両論があり、その是非を当記事では問う意図はないからだ。
前回の記事で解説したが、ノーツがEUCになって、十数年経過している会社が多い。そして、無理、無駄、不便がノーツのEUCで課題となっている。こうしたEUCの課題は、経営から見て問題となる。そして、経営から「ノーツをやめろ」との指示が出る。
「ノーツをやめろ」の経営指示の趣旨は、ノーツの製品自体に課題があるからではない。「今のノーツは投資対効果が見えないので刷新しろ」が理由である。つまり、EUCをやめれば、この問題は解決するのである。実際に、そのように話を進めた会社が移行を成功させている。
次に、ノーツ移行に成功したケースを細かくみていこう。
EUCをやめる
新システムではEUCは採用しないことを決める。十数年前に委譲した開発権限をユーザーから情シスに戻す。これを経営会議で了承を得る。ユーザー長である事業部長も経営会議で同席し承認したことだ。経営会議では、EUCはやめられないという異論も出るかもしれない。しかし、新システムでEUCを継続させたらノーツで生じたEUCの課題は何ら解決しない。言わば、ノーツ移行の理由を否定することになる。ノーツ移行に成功したケースは、EUCをやめる旨を経営会議での了承を取りつけている。
ユーザー課金
ノーツ移行に成功したケースでは、ユーザー課金制度を導入している。理由は、ユーザーにコスト意識を持ってもらうためだ。
情シスがサーバーの維持管理にどれだけ費用をかけていても、ユーザーは気にしない。ユーザーは、情シスがノーツの維持管理をしているサービスをタダと思っている。これでは、新システム移行後もユーザーはタダで要求し放題だ。そこで、受益者負担の考え方を導入しユーザー課金を決める。 経営はコスト意識が強く、ユーザーは弱い。情シスは、経営からのコスト削減要求とユーザーからの改善要求の板挟みになっている。だから、情シスは、経営にユーザー課金を会社方針で出すよう働きかける必要がある。
次のページでは、情シスで決めなければならないシステム化方針を紹介する。