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アトラシアンのニコラス・マルドゥーン氏が語る分散バージョン管理によるアジャイル開発


2002年、大学を卒業した直後のマイク・キャノンブルックスとスコット・ファーカーによりシドニーで設立されたアトラシアンは、ソフトウェア開発支援ツールのベンダーとして、現在では2万社以上のユーザーを獲得している。同社は特に、イテレーション(反復)を繰り返して俊敏にソフトウェアを開発するアジャイル開発に有用なツールの提供に力を入れており、自身もアジャイル開発を実践していることで知られている。2012年に公表されたガートナーのレポートでは、ALM(アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント)ツール分野においてマイクロソフト、IBMと並ぶ3大ベンダーとして認定された。来日したニコラス・マルドゥーン氏に話を聞いた。

アジャイル開発を実践しながら有用なツールを開発

Atlassian Agile Evagelist Nicholas J Muldoon氏
Atlassian Agile Evagelist Nicholas J Muldoon氏

 --- まずアトラシアン社の概要をご紹介ください。

 ニック 2002年にオーストラリアのシドニーで設立され、現在はサンフランシスコ、アムステルダム、東京にも拠点があります。私が2007年にアトラシアンに加わった時は89人目の社員でしたが、現在では約550名になっています。

 アトラシアンのミッションは、世界の様々なチームが素晴らしいソフトウェアを作るための支援をすることです。製品は大きく分けて二つあります。まず、バグ、タスク、プロジェクト、人、ソースコードなどのあらゆるものを管理する、プロジェクト管理ツールの提供です。もう一つはチームがリッチなコンテンツを作成、共有、議論するためのコラボレーションツールです。

 アトラシアンのソフトウェアは、エンタープライズでも利用可能であると当時に、数多くのユーザーに使ってもらえるように、価格が非常に安くなっています。実は、私たちの会社にはセールスの担当者はいません。そのため価格を抑え、魅力的な製品の開発とサポートに注力できています。そのおかげで、現在では20000社の顧客を獲得しています。日本ではグリー、DeNA、楽天、ヤフーなどのWeb系、任天堂、バンダイナムコ、カプコンなどのゲーム系、NHN Japan、mixiなどのSNS系、キヤノン、デンソーなどの組み込み系などアジャイル開発への取り組みが早い企業がユーザーとなっています。

 以上のようにアジャイル開発が一つの柱になっていますが、2年前ごろから分散バージョン管理(DVCS)関連の製品を出しています。私たちは、DVCSはアジャイル開発に続く、ソフトウェア開発の10年に1度のエボリューションだと考え、注力しているところです。

 --- アトラシアン社はアジャイル開発の実践で知られていますが、それは最初からだったのでしょうか。またニックさん自身のキャリアについてもお聞かせください。

 ニック 設立された2002年は、アジャイル開発の考え方をまとめた「アジャイルマニフェスト」が発表された翌年です。最初からアジャイル開発が採用されました。ただ当初はマイクとスコットの二人だけですから、まとまった工程ごとに仕上げていく従来型のウォーターフォールの手法では難しかったでしょう。

 私は大学でコンピュータサイエンスを学び、中小企業にサポートサービスを提供する会社に入社し、サポートエンジニアとしてキャリアを開始しました。そこからプロダクトマネージャーに転じる中で、カスタマーからのフィードバックを開発部門に伝えていくことの重要性を認識しました。ただそこでのプロダクトはウォーターフォール方式で開発されていましたから、アジャイル開発とエンタープライズ向けに携わったのはアトラシアンに加わってからになります。最初に取り組んだのは、当社で一番売れている製品であるプロジェクト管理ツールのJIRAのプラグイン、GreenHopperの開発です。

 --- GreenHopperとはどのような製品なのでしょうか。

 アジャイル開発ではよく、課題の一つひとつを付箋に書いてホワイトボードに貼っていきますが、JIRAはそれを電子的に行い、課題を見える化します。そのカード状になっている課題を「ToDo」、「Doing」、「Done」など作業の進展などに合わせてドラッグ&ドロップで動かすと、課題がアップデートされます。それを見ながら、開発チームのメンバーがオペレーションのプランニングなどをするわけですが、それを場所が離れていても可能にするのがGreenHopperです。

 またアジャイル開発には、作業時間の単位を決めて行う「スクラム」と、作ったものをひとつずつ流しいく「カンバン」という手法がありますが、どちらのチームも始めやすいようにするためのテンプレートが用意されています。

 2011年からは個々の製品の担当から外れ、アジャイル・エバンジェリストという形で、カスタマーがアジャイル開発でより多くの成果が得られるように支援する活動をしています。今回来日し、様々なところでスピーチしたりするのも、その一貫ということになります。

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分散バージョン管理におけるコラボレーションも支援

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久原 秀夫(クハラ ヒデオ)

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