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“生活者発想”の「オープン・サービス・イノベーション」によるビジネス創造

「オープン・サービス・イノベーション」の基本コンセプト「ビジネスをサービスとして考える」、「顧客との共創」とは?

(第2回)

前回は、「オープン・サービス・イノベーション」の概論について解説した。その中でも簡単に触れたように「オープン・サービス・イノベーション」には、4つの基本コンセプトが存在する。今回は、基本コンセプトの概略と、4つのコンセプトのうち2つのコンセプトについて具体的事例を交えつつご紹介したい。

オープン・サービス・イノベーションの4つの基本コンセプト 

図1:オープン・サービス・イノベーションのコンセプトマップ
 

 ビジネスをサービスという枠組みに入れると、ビジネスに対する考え方が変わる。顧客との関係の築き方、ビジネスの構築法、差別化や価値創出の手段といった、すべてのものがサービス志向になる。これがオープン・サービス・イノベーションにとっての基本コンセプトだ。

 また、Steve Vargoらが提唱する、「サービス・ドミナント・ロジック」の浸透により、モノを最終提供物として位置づけることに留まるのではなく、モノに下支えされたサービス全体(=コト)を生活者への提供価値として捉える考え方が重要視されるようになってきている。ここでのモノは、コトを提供するための媒介手段ともいえる。この変化もまた、「オープン・サービス・イノベーション」を理解する上で同時に押さえておくべきものであるといえよう。

 それでは、「オープン・サービス・イノベーション」の4つの基本コンセプトの概略を以下にご紹介する。

1:ビジネスをサービスとして考える

 コモディティ・トラップが進行する世界で差別化を維持するため、(製品、サービスの両方で)ビジネスをオープン・サービスのビジネスと位置づける。

2:共創

 顧客の価値ある体験を創出するために、顧客をイノベーションの共創に引き入れる。

3:オープン・イノベーション

 サービス・イノベーションを加速、深化するためオープン・イノベーションを利用し、イノベーションのコスト、リスク、時間を減らす。そのために、オープン・イノベーションを使って第三者も参加できるプラットフォームのビジネスに変革する。

4:ビジネスモデルの変換

 オープン・サービス・イノベーションを伴うビジネスモデルに変換し、イノベーションによって利益が得られるようにする。プラットフォームのビジネスモデルが構築できたら、他のイノベーションからも利益が生まれる。

 これらのコンセプトによって、コモディティ・トラップに陥るリスクから逃れる道が開ける。新たな価値を生み出し、自社の成長と利益を促すサービス中心の経済において、企業が繁栄できる方法だ。

 それでは次項より、それぞれの基本コンセプトについて詳しくご紹介しよう。

次のページ
基本コンセプト1「ビジネスをサービスとして考える」:サービスの定義

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この記事の著者

高松 充(タカマツ ミツル)

  株式会社TBWA博報堂 CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー) Human Centered Open Innovation(HCOI)事業の統括責任者。 博報堂にて営業職、在米日本大使館駐在を経て、経営企画職を経験。 博報堂DYグループの社内ベンチャー制度の審査委員な...

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