電力供給の分散化がもたらすエネルギー管理のパラダイムシフト
従来はCO2削減という環境問題の視点から中長期的な課題として捉えられてきたエネルギー問題ですが、3.11を契機に大きく様変わりしました。企業や個人という需要家(利用者)にとれば、電力は自由に利用できるものから自己防衛が必要な資源になったのです。計画停電、節電の数値目標や電力料金の値上げは、企業に事業継続リスクをもたらし、デフレの時代に値上げを受けざるを得ない状況となりました。
また、供給サイドの電力会社にとっては原子力発電による安定供給シナリオの見直し、代替エネルギーの調達やコスト上昇に直面することになりました。一方、このエネルギー危機に対して太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーでもって異業種から発電ビジネスへの新規参入が急速に増えています。
今後も従来の電力会社の安定供給の課題は続くと予想されているので、新電力の参入は継続し、電力供給の分散化が進みます。また、需要家の自己防衛として節電や売電の取り組みも加速していくでしょう。
要は従来の電力会社による独占的な電力供給体制から新電力や需要家も含めた供給の分散化が進みます。これはシステム的には集中管理システムから自律分散化システムへの大きなパラダイムシフトが伴うということであり、電力管理システムはアナログ技術中心の系統制御から、スマート・グリッドに代表されるデジタル技術が必須になります。