「ビジネス・プロセスを変革し、強い企業体質を作れ」ガートナー小西一有氏
■ガートナー「エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット2013」レポート
成功を収めているCIO(最高情報責任者)は、ビジネス・プロセス改善においてビジネス部門のリーダーと緊密に連携を図っている。そして、主要なプロセス改善機会を特定し、一連のビジネス・プロセス変革を成功に導くためのコンピテンシを育成し、IT組織がビジネス成果を向上させられることを実証している。ガートナーの「エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット2013」における小西一有氏の基調講演では、グローバルのケーススタディを用い、成功を収めたCIO/ITエグゼクティブのリーダーシップについて論じられた。
Nexus時代に求められるビジネス・プロセス改善とは

小西氏のセッションのテーマはビジネス・プロセスの改善、BPI(Business Process Improvement)だ。では、BPIはどう定義されるのか。小西氏は、日本で「ビジネス・プロセスの改善を行った」と言っている人の9割は、BPA(Business Process Automation)をすることだと見ている。最初は業務改善、業務改革のプロジェクトだったはずが、半年も過ぎるとERP導入、SCMパッケージ導入プロジェクトになってしまっている。これはBPAであり、IT部門には「何となく仕事した」感があるが、会社としては投資回収が難しいケースが少なくない。
一方でBPIでは、IT部門が主体となって「縦割り組織の壁を越えて横串を刺し、ビジネス・プロセスを本当に改善した」という状態をめざす。BPIをさらに進めたものがBPR(Business Process Re-engineering)で、縦割り組織の壁を越えたクロスファンクショナルな人々が出てきてチームを組み、プロセスを大きく変更する。BPI、BPRの先にあるのはBI(Business Improvement)、BO(Business Optimization)と定義する。

今回のサミットのテーマは「Nexus時代に備える」。Nexus時代とは、クラウド、モバイル、ソーシャル、インフォメーションという4つのITパワーによって生み出される結節(Nexus of Forces:強固な結びつき)がかつてないほど強まっている状況を指す。
企業がモビリティ、クラウドを駆使して顧客や市場に情報を発信すると、その反応がほぼリアルタイムにソーシャルメディアを通じて返ってくる。そのフィードバックを分析し、企業と顧客&市場の間にあるコストや複雑性、重複性などの歪みを解消する活動をし続ける。従来のBPIは数年かけて行っていたが、Nexus時代では非常に早いスピードで変わるマーケットに、企業は追随しなければならない。こうした時代を主導するのは、CIOやITエグゼクティブであるべきだと、小西氏は言う。
では、ビジネス・プロセスの改善を主導しているCIOやITエグゼクティブの命運を分ける行動(ビヘイビア)とアプローチとは何か。小西氏は以下の三つだと説明する。
1.かかわりを深める(Engage)
2.育てる(Develop)
3.届ける(Deliver)
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