戦略とは、相互依存関係にある様々な選択肢の組み合わせ
マネジメント戦略についての定義は多く存在するが、
「望ましい結果、競争領域、価値提案、競争優位の源泉という各事項に関する相互依存関係にある選択肢を独自に組み合わせたセットである」
という定義を私は好んで使っている。
「セット」(わずか1、2の選択肢ではない)、「独自性」(競合他社とは異なっていなければならない)、「相互依存関係」(戦略上の選択肢はお互いに補完し合っている)がキーワードだ。そして、これらの選択肢は、望ましい結果という目標に向かって決定される。
戦略策定にあたり検証すべき項目は何か?
戦略を考えるとき、以下の3つの事項を押さえておく必要がある。それぞれの事項を分析するためののツールも示しておく(図表1参照)。
- 業界の影響:業界全体に影響している要因-ツール:産業分析
- 企業のポジショニング:業界内での競合他社と比較しての自社のポジション-ツール:コスト・支払い意欲(WTP: Willingness To Pay)・推進要因、戦略的ポジショニング、市場ポジショニング
- 活動(アクティビティ)、資源、能力:2 のポジションを実現させている自社の企業としての影響-ツール:活動システム、バリューチェーン
上記3事項の企業の収益性に与える重要度の目安として、業界の影響が20−25%、ポジショニングが60−65%、企業の影響が10−15%という試算がある(米国の全産業平均)。
まず、長期的な利益率に対する業界の影響から考えてみよう。上の図表2は、過去30年の米国企業の業界別利益率を示す。業界によって利益率は大きく異なっている。一方で業界内でもかなりのバリエーションがあることも見逃してはならない。下の図表3の製薬とトラック輸送業界の各社の利益率を見れば、トラック輸送業界だからといって、低い利益率に甘んじるよう運命づけられているわけでもないことが分かる。逆に言えば、利益率の高い業界にいれば、自社の利益率も同様に高いとは限らないのである。
競争優位とは「業界平均を上回る自社の利益率」
上記を踏まえ、競争優位を次のように定義しておこう。競争優位とは「業界平均の利益率より自社の利益率が高いこと」。会計レベルに落とし込めば単純で、価格からコストを引いた額が競合他社に比べて大きければ、競争優位を生み出しているということになる。