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スタートアップから既存企業が学ぶこと

(第20回) 

お金も時間も限られるなかで、「成功する事業」をつくりだすことがミッションであるスタートアップ。従来の「持続的イノベーション」が前提となった既存企業のマネジメントの常識が通用しないのが、スタートアップの活動の現場です。ただし既存の企業においても、商品も顧客も市場も存在しない領域で、「破壊的なイノベーション」を生み出すことが求められる現在、既存企業がスタートアップのマネジメント方法に学ぶことは多いはずです。20回目となった今回はそのあたりに焦点をあててみようと思います。今までの記事は、こちら。

スタートアップは面白い-制約条件が無駄を省く

 先日、あるサービスデザインのイベントを開催した際に、ご自身でもスタートアップのコンサルティングをされている1人の参加者がこんなことをおっしゃっていました。

 「スタートアップは面白い。彼らはお金も時間も限られるなかで、あれやこれやとやることができない。実はそこがスタートアップの面白いところで学ぶべきことが多い」

 まったく同感です。無駄をなくし必要なことだけをやるという点で、私たちがスタートアップに学ぶべきことは多くあります。

 詳しくはここから順を追って説明していこうと思いますが、まず簡単にスタートアップから学ぶべき姿勢はどういうものかを図式化すると、以下のようになります。

図1 何が無駄な仕事で、何が必要な仕事なのか?

 では、この図で示したことを説明していきます。

 スタートアップに比べ、より規模の大きな既存の企業は、一般的にできることの選択肢も使える資産も多くあるといえます。それは一見自由度があって良いことのように思われますが、必ずしもそうではありません。

 選択肢が増えるということは、“やらなくてもいいことをやってしまう可能性”も増えるということです。選べるものが多すぎて、何をやれば良いかもわからなくなってもしまいがちです。余裕は無駄を生むだけでなく、本当に必要なことを選択することを困難にします。必要なことはいっさい行われないまま、無駄なことを無駄とは感じないまま、しゅくしゅくと業務として行ってしまうという可能性があります。仕事が自分ごとではなくなってしまいがちです。

 スタートアップの方々とお話ししていると、彼らがとにかく無駄なことをするのを嫌い、必要なことだけをしようとしているのがよく伝わってきます。彼らにしてみると単純に、無駄なことをする余裕などないということだと思いますが、私たちからすれば、彼らの姿勢から学ぶことは多くあります。

 彼らの多くは、これまでにない価値を提供する新しい事業を生み出すために活動をしています。スタートアップに限らず、何かこれまでにない新しい価値を生み出そうとすれば、自分たち自身が実現したいことは何かを妥協することなく真剣に考え続けたり、その実現の方法が見つかるまでもがいて模索し続けたりすることが必要です。新しい自分たちの事業を創造して、その事業を成功させようとするのですから、まぎれもなく自分たち自身のために考え、自分たち自身のために行動し続けるということです。

 スタートアップの方々はそれができます。それ以外に選択肢がないからそうするしかないとも言えますが、必要なことしかできないということに何か問題があるでしょうか?自分たちが必要とすることのためだけに、自分の仕事をするということ。私たちはこの姿勢をスタートアップから学ぶ必要があるのではないかと思います。

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棚橋弘季(タナハシヒロキ)

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5077 2013/08/30 08:00

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