「ストレージは可用性が高いハイエンドのものから、ミッドレンジのものへと顧客の関心は移っています」―EMCジャパン マーケティング本部 本部長の上原 宏氏は、メインフレームがUNIXに、クライアント・サーバーシステムがクラウドとモバイルへと変化したように、ストレージの世界でも大きな変革が起こっていると指摘する。引き続き、高可用性、高性能なハイエンドストレージを必要とする領域はあるが、クラウド事業者やデータセンター事業者らは、使いやすいミッドレンジのストレージに関心があるとのこと。そんなミッドレンジのモデルとして、EMCは「革新的なストレージ」を今回投入すると言う。それが新たなVNXシリーズだ。
最大110万IOPSを発揮しOracleやSQL ServerのOLTP性能も4倍に

ミッドレンジの価格帯のストレージ市場は、年率で10%近くの成長があり、ユニファイドストレージは39%、ファイルストレージでは42%もの成長率となっている。これら成長率の高い市場をターゲットに、ミッドレンジ・ストレージとしては極めて高性能な製品を、今回EMCは投入するのだという。
そんな新たなVNXシリーズの特長の1つが、Flashストレージの活用。昨年来、EMCでは「Flash Everywhere」というスローガンのもと、あらゆるところでフラッシュストレージを活用できるようにしてきた。今回はそれをさらに1歩進め「Flash Fast」、つまりはFlashを中心に考えた製品を提供する。
もう1つの特長が、マルチコア最適化テクノロジー「MCx」。「これは、まさに名前のままのテクノロジーです。この機能からもたらされる性能の向上は著しく、効率的で可用性も高めるものです」と上原氏。このFlashストレージの活用とMCxにより、NFSのパフォーマンスとレスポンス・タイムの評価となるSPECsfs2008_nfsでは、580,796IOPSを発揮。従来のVNXシリーズよりも70%のレスポンスタイムの高速化を実現しており、トランザクション性能も110万IOPSに達した。
上記の数字はストレージ単体の性能向上を表すものだが、この新しいVNXシリーズを実際のシステムで利用することでも、旧製品に比べファイルサーバー性能で約4倍、OracleやSQL ServerのOLTP性能も4倍のとなる。さらに、仮想サーバーに搭載できるバーチャルマシンの数も、旧製品の6倍となると上原氏は説明する。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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