ユーザーの成功事例、IBM自身の事例を紹介
続いて、IBMコーポレーションのグローバル・テクノロジー・サービス担当シニア・バイス・プレジデントであるエリック・クレメンティ(Erich Clementi)氏が、グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業とクラウド関連製品の紹介を行った。IBMの事業セグメントのなかで、ソフトウェア、サービス、ハードウェア/ファイナンスのそれぞれのグループ(事業)の割合は、営業利益ベースで45%、41%、14%となる。GTSはサービスグループの中核で、600億ドルの投資を行っている。
「顧客が必要としているのは、クラウド、ソーシャル、モバイル、アナリティクスなどに関する最高のテクノロジーだ。だが、サービスは製品と違ってデリバリーできなければ意味がない。我々は6つの部門でサービスをデリバリーしている。SoftLayerのIaaSサービスが加わったことで、業界で最も豊かなクラウドポートフォリオを持つに至った」(クレメンティ氏)
SoftLayerは、7月に買収を完了したIaaSサービス事業者。140ヵ国2万1000社を顧客に持ち、データセンターは米国、アムステルダム、シンガポールなど13拠点、ネットワーク接続ポイントは、香港、東京など17拠点を有する。データホテルがサービス提供基盤にSoftLayerを採用するなど、国内企業の事例も出始めている。
「クラウドは当初、価格の安さが競争力の源泉だったが、いまはそうではなく、迅速さや機動性が求められる。IBMは、SoftLayerとIBM SmarterCloud Enterpriseを組み合わせたIaaS基盤を提供することで顧客の変革を支援する。これから日本の企業がSoftLayerを利用できるようにしていく」(同氏)
次に、IBMコーポレーションのミドルウェア・ソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデントであるロバート・ルブラン(Robert LeBlanc)氏がビッグデータやアナリティクス、モバイル、ソーシャルなどに関する最新テクノロジーについて説明を行った。
アナリティクスの分野では、BI製品や統計解析製品、分析エンジンであるCognos、SPSS、ILOG、Watsonを組み合わせて企業の意思決定を支援できるようにしている。たとえば、実際に何が起こったか(Descriptive)、今後何が起こるか(Predictive)、成果をどう最大化するか(Prescriptive)、最善の判断は何か(Cognitive)という、分析から予測、全体把握、理解へと続く流れをソリューションとして一環して提供できるという。
モバイルについては、2月にMobie First Initiativeという、モバイルを起点に企業のビジネス変革を支援するアプローチを発表し、製品ポートフォリオとしても、モバイルアプリのプラットフォームWorklightや、管理製品Endpoint Manager、モバイルセキュリティTrusteerなどをクラウドベースで提供していることを説明した。
また、成功事例としては、SPSSとPureData Systemで分析時間を数時間から数分に短縮したマイクロアドを紹介した。
次に、IBM自身の変革について、エンタプライズ・トランスフォーメーション担当シニア・バイス・プレジデントのリンダ・S・サンフォード(Linda S. Sanford)氏が、アナリティクス、財務リスク分析、クラウドの3つの観点から説明した。
アナリティクスについては、SPSSとCognosを活用して、支出予測の90%を自動的に生成し、報告書の精度を25%向上させたという。また、財務リスク予測では、国別に財務リスクを見られるようにし、ネガティブな要素を早期に発見できるようにしているという。南米のある国では9ヵ月前にネガティブな要素を見つけ、警戒を行うことで、リスク軽減につなげた。クラウドについては、System z上に100超のDWHを集約してプライベートクラウドを構築し、20万以上のユーザーが500を超える分析アプリケーションを利用できるようにしているという。
「80億ドルの予算で社員の生産性向上を推進している。予算の60%が成長に向けて再投資される」(サンフォード氏)。
なお、イェッター氏によると、10月9日には、Power Systems、PureSystems、System x、System Storageの新モデルを発表する予定になっている。また、IBM Global C-Suite Studyの調査レポートも近日中に公開する予定という。