日本IBM、経営層向けの調査「IBM Global C-Suite Study」の結果を発表
イェッター(Martin Jetter)氏は、近年の取り組みとして、組織、コンテンツ、人材に対する投資を続けていることを紹介した。組織については、去年の7月に顧客に近づくための新しい体制を発表し、東北、西日本、関西、中部に4つの新しい支社の設立や大和事業所の豊洲事業所への機能移転などを済ませた。また、コンテンツについては、ビッグデータ分析やクラウド、モバイルといった成長分野におけるソリューションを展開した。人材に対する投資としては、タブレットを使って時間や場所を問わず研修を受けられるシステムを新たに採用したことを挙げた。
イェッター氏は、これら取り組みの成果は、顧客の成功事例となってあらわれているとし、具体的に、三菱UFJニコスにおけるSmarter Commerce(マーケティングシステム)、大成建設におけるビルのライフサイクル管理の事例(Smarter Cities)、ホンダにおける電気自動車からのデータ収集の事例(Big Data & Analytics)、ファイザーにおけるクラウド型研修管理システム(Smarter Cloud)、大鵬薬品におけるタブレット向けVDI環境構築(PureSystems)、イズミヤにおける基幹システム統合(High-End Systems)などを紹介した。
続いて、「IBM Global C-Suite Study」の調査結果を報告。この調査は、世界70ヵ国20業種の4000名以上のCxO(役員層)との対面インタビューをまとめたもの。対面インタビューはのべ2万3000回に及び、日本からは631人と国別では最も多いCxOが参加した。イェッター氏は、この調査をふまえて、企業の成功要因を3つのポイントとして紹介した。
成功要因の1つめは、顧客の影響力を経営に生かすことだ。グローバルでは54%のCxOが「顧客の影響力は大きい」と答えた。日本の場合はこの数字が特に大きく76%に達した。「日本の経営者がクライアントは大事との発想を強く持っている」(同氏)ことを示したものだという。
2つめは、デジタルとの統合をはかることだ。「デジタルと実世界を統合した戦略がある」との回答はグローバルでは36%であるのに対し、日本では24%にとどまった。このことから「クライアントが大事だと考えているが、さまざまなチャネルを使って、顧客と対話することができていない」と分かるとした。
3つめは、魅力ある顧客体験をデザインすることだ。「今後3~5年で顧客を理解しようとしているか」に対するグローバルと回答は76%であるのに対し日本は84%。「顧客を個々のレベルで理解することが求められている。それにはソーシャルメディアやインターネットなど、マルチチャネルでの対応が必要になり、柔軟性が求められる」という。また、日本以外では顧客エンゲージメントを獲得するための取り組みが進められているが、日本は遅れており、対応が必要だとも話した。