野村総合研究所は2月28日、「ユーザー企業のIT活用実態調査2013年版」の結果を発表した。今回の調査では、ITの役割を「コア技術」と見なすか、「基幹設備」と見なすかという視点で4つのタイプに分け、ITに対する姿勢の違いを探った。その結果、企業は自社を「非コア・基幹」と回答した企業が全体の37.9%と最も多く、続く「コア・基幹」と回答した企業とで二極化していることがわかった。また、IT予算の額、使い方にはタイプによって違いがあることもわかった。
IT投資が伸び悩む中で2極化するITの活用
IT投資が伸び悩むなか、ITの活用度合いは企業によって差 この調査は、国内の売上高上位企業約3000社の情報システム担当役員や情報システム部門長を対象として2003年から毎年実施しているもの。今回の調査は昨年12月に実施し、599社から得た回答を集計した。いわゆる大手企業におけるIT活用の最新動向と言える。

調査と分析にあたった研究理事の淀川高喜氏は「IT投資が伸び悩むなかで、ITの活用度合いは企業によって差があった。ITの役割をコア・基幹と位置づける企業は、IT投資に積極的で、新技術の採用や新しい事業やサービスの創造を重視する。一方、非コア・基幹と位置づける企業は、ビジネスの維持にかかるIT費用が高く、CIOに期待される役割も、IT投資やコストの管理が高いという結果だった」と総括した。
調査で用いたコア技術とは「本業を変革または強化する上で、ITが中核となる技術である場合」を指している。また、基幹設備とは「ITが建物、機械、土地、人員と同じように商品やサービスなどを生み出す本業の主要な生産手段となっている場合」を指している。
たとえば、「ITが競争優位につながるコア技術でありかつ基幹設備であると考える企業」はコア・基幹、「ITはコア技術ではないが基幹設備である企業」は非コア・基幹となる。同じように、「コア技術であるが基幹設備ではない企業」はコア・非基幹、「コア技術でも基幹設備でもない企業」は非コア・非基幹となる。
この4タイプの分類は、Warren MacFarlanらが提唱した「戦略グリッド(Strategic Grid)」に沿ったものだ。ITの役割をキーワードして示すと、コア・基幹は「戦略的(Strategic)」、コア・非基幹は「変革手段(turnaround)」、非コア・基幹は「工場(factory)」、非コア・非基幹は「支援(support)として表せるという。
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- この記事の著者
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齋藤公二(サイトウコウジ)
インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。
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