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Drupal創始者Dries氏来日「なぜ政府や企業の大規模サイトはDrupalを使うのか」


 Drupalの創始者、Dries Buytaert氏が来日。9月16日に開催された「DRUPAL NIGHT IN TOKYO 2014」でDrupalとその企業向けクラウドであるAcquia(アクイア)を紹介した。当日のセッションを抄録でお伝えする。

Dries氏 「エクスペリエンスの進化こそがWebの未来」

Drupal Dries Buytaert
Drupal Dries Buytaert

 私はDrupalを始めるとき、はじめからオープンソースでと考えました。オープンソースであれば、誰もがバグがあればFIXをおこない、新しい機能を追加できます。自由度が高く変更を共有することができるのです。今では、非常に大きなオープンソースのソフトウェアとして成長しました。

 Drupal 8のコアメンバーは2000人以上におよびます。世界中で300万以上のWebに使われており、世界のWebの50にひとつはDrupalです。15000以上の拡張モジュールがあり、登録ユーザーは100万人以上となります。

 Drupalの特長は多くのメディア、大学などで使われていることです。Time Inc、BBC、NBC、タイムワーナー、大学ではスタンフォード、MIT、ハーバードなどもDrupalを使っています。

 企業ではアメリカの大手でかなり使われています。ジョンソン&ジョンソンやファイザーといった大企業のサイトは、大規模でビルドも複雑です。ジョンソン&ジョンソンは3000以上のサイトを持っていますが、すべてがDrupalです。WordPressを使う企業は小規模なサイトしか出来ません。柔軟性と拡張性、複雑なサイトが作れるという点で、こうした企業ではDrupalが選ばれています。

 写真機の歴史から、Webの未来を考えましょう。1830年代に写真機械が発明されました。この時の写真機は、複数の人間がかかわって写真を撮るというものでした。1880年代にコダックがカメラを発売します。その時のビジョンは“あなたはボタンを押し、私達が仕事をする”というものでした。これはまだまだカメラの歴史の最初で、やがて35ミリのフィルムが出来、写真市場というエコシステムが生まれました。それとともにユーザーのエクスペリエンスも進化したのです。

 Webの未来はエクスペリエンスの進化にあります。静的なWebからダイナミックなWebへの進化し、人々の求める細かい内容を理解するというものであり、単にコンテンツをパブリッシュするいうだけの時代ではありません。Drupalを使う世界はもっと複雑に進化しています。コンテンツではなく、“コンテキスト”のプラットフォームなのです。

 政府のWebも単に情報を発信するというものではありません。市民の参加を促すことが重要です。コミュニティや組織であれば資金を集める。学校であれば学生と双方向のやりとりをするためのものです。

 ホワイトハウスのWebは、Drupalの代表的な事例です。セキュリティ、パフォーマンス、迅速性などもっとも高いレベルが求められます。世界中のハッカーから狙われます。

 政府への嘆願は、憲法で保証されています。この嘆願を受け付けるサイトもDrupalで作られています。米国民からの嘆願が数万件とどき、政府からの返答もおこなわなければなりません。

 たとえば、ある人がGoogleでロンドンへのフライトを検索し、次に航空チケットのサイトを訪れたとします。するとこのサイトでは、すでに旅行先としてロンドンが参考情報と表示され、写真も関連づけられたイメージが表示されています。これによって顧客のコンバージョンは上がります。コンテキストがリッチなWebはこうあるべきなのですが、ほとんどのWebは出来ていない。

 たとえばこのコンチネンタルのサイトでは、関連情報は一切出てこない。無関係な広告が表示され、クレジットカードのプロモーション画像が表示されています。

 正しい情報とコンテクストをWebが理解して、エクスペリエンスを上げることができます。IPアドレスにもとづいて、どこからアクセスしているかがわかります。たとえば、アクセスしている地域の天候が雨であれば、傘を表示させるということです。これによって訪問者をお客様に変え、何をしているかを把握し、SNSに取り込むということです。

 Drupalは今では単体のCMSではなく、Web訪問者を購買者に変えるためのツールのコンビネーションのためのプラットフォームです。

 最近では多くの企業が、このマーケティングの自動化に注目し、オラクルは“Web Experience Management”、ガートナーは“Online Channel Optimization”、フォレスターは“Digital Experience Management”と言っていますが同じことを言っています。私にいわせれば、“デジタル”の一言で良いと思います。

 Acquiaは、Drupalをクラウドで提供するプラットフォームの会社です。メインのWeb以外に、数多くのマイクロサイトをイベントごとに立ち上げています。大企業のWebは有機的に繁殖するジャングルのようなものです。大手企業は製品をリリースするたびに、その担当と地域のホスティング会社でサイトを立ち上げ、複雑化が進んできました。イベントの告知や商品のリコールのサイトは、SaaSですぐに立ち上げることができますが、より高度のWebの場合柔軟性が必要で、サイトを診断し分析をおこない常に改善をしていかなければなりません。クラウドのスタックの上に行くほど管理は楽になりますが、柔軟性は低下します。Acquireでは、複雑なWebもクラウド上でのPaaSで管理することが出来ます。

 Acquiaの拠点は世界中ですが、東京でもプラットフォーム事業をスタートさせました。国内にデータセンターを持つAWSを使っています。世界中のユーザーコミュニティと一緒になって、先を見越して正しい方向に向かって動いているのです。

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Feripe氏、「Drupalは単なるWebのCMSではない」

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

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