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Salesforceは「WAVE」に乗れるか?―Dreamforce 2014基調講演レポート


 セールスフォース・ドットコムの年次イベントDreamforce 2014が始まった。いまや、サンフランシスコのモスコーン・コンベンションセンターで開催されるイベントとしては、最大規模に成長したのではないかと思わせるくらいものすごい数の人々が会場に詰めかけている。CEOのマーク・ベニオフ氏は、この大規模なイベントはセールスフォース・ドットコムから一方的にメッセージを伝える場ではなく、むしろ参加している人たちからの声を聞く場であり、Salesforceを活用し成功している顧客の声を、他の参加者の人たちにも是非聞いてもらいたいという。

社会貢献をやり続けることが企業価値の向上に

ベニオフ氏
ベニオフ氏

 ベニオフ氏のキーのトートセッションは、ビーチ・ボーイズの生演奏から始まった。ビーチ・ボーイズを選んだのはベニオフ氏自身。彼がハワイや海が好きだというだけでなく、このあと発表する新製品「WAVE」にもかけた選択だったのだろう。

 キーノートセッションの冒頭は、お馴染みとなった社会貢献活動の話題から。セールスフォース・ドットコムの社会貢献活動でいま重要視しているのが「子どもの教育」だ。「学校教育には力を入れています」とベニオフ氏。社会貢献活動を効果的に行うには、企業なりが一方的に何かを行うのではなくそれを受け入れる体制も重要となる。セールスフォース・ドットコムではまずは地元サンフランシスコで広く活動をしており、それをサンフランシスコ市もきちんと受け入れる体制ができている。サンフランシスコ市長のエド・リー氏は「セールスフォース・ドットコムが、街の慈善活動の模範を示しています。チャンスさえ与えれば、子どもたちには大きな可能性があります」と言う。

 セールスフォース・ドットコムでは、学校教育のためにまずは500万ドルの寄付をした。これはIT機器などを購入するためだけでなく、先生など指導者の技術スキル向上にも利用されている。たんにお金を渡すだけでなく、実際に教育現場でITを活用するためにどうすればいいのかを考える。考えるだけでなくセールスフォース・ドットコムの技術者なりが現場に赴き、よりITを活用できるように手助けするところまで行っているのも同社の社会貢献活動の特長だ。

 こういった社会貢献活動は、セールスフォース・ドットコムのビジネスと直接関連するものではない。しかし、結果的には社会貢献活動に積極的な同社のサービスを優先的に使いたい顧客が出てくることにもつながる。さらには、ビジネスだけをやっていたのでは難しい著名人たちとの密なつながりもできている。今回のDreamforceにも次期大統領選に出馬すると噂されるヒラリー・クリントン氏、ミュージシャンのウィル・アイ・アム氏などそれぞれの分野で「大物」とも言える人たちが多数登場している。ウィル・アイ・アム氏はウェアラブル・コンピュータのテクノロジーを活用する新たな会社をスタートするそうで、その発表を今回のDreamforceの中で行う。

 「これは子どもたちのためのプログラムの1つです。子どもでもウェアラブルの仕組みが簡単に作れるものになります。それにより、子どもたちの中からスターをみつけたいのです」(ウィル氏)

 当然ながら、彼らの登場はDreamforceの集客に大きく貢献している。それが同社のビジネス向上にも役立っていることは間違いない。企業が社会貢献活動を続けることが、企業価値を高めブランディングの向上となりビジネスの成長にも貢献する。日本でも社会貢献活動を行う企業は増えているが、このようにブランディングやビジネス向上などに直接結びついている例はまだまだ少ない。企業の中で社会貢献活動をどう位置づけ、それをどう実践し企業文化として根付かせていけばいいのか。セールスフォース・ドットコムのやり方に学ぶべきことはたくさんありそうだ。

最初からモバイル対応しているAnalytics Cloudの「WAVE」でビジネス現場の意思決定を素早くサポート

 本題となるSalesforceのサービスについては、新たに2つの発表があった。1つがAnalytics Cloudの「WAVE」だ。このAnalytics Cloudを提供することとなった背景には、昨今のデータ革命がある。たとえば、2020年までには非構造化データがいまの50倍にまで増えるとも言われている。顧客はこういった増え続けるデータを蓄積してはいるが、どう活用すればいいかがいまひとつ分かっていない。

 もちろんOracleやMicrosoftなどの企業は、蓄積した大量データをどう扱えば良いかに取り組んでいる。しかし「彼らは旧い技術でそれをどうにかしようとしています。今後のデータ革命の中では、もっと新しいものが必要です」とベニオフ氏、そのために提供するのがAnalytics CloudのWAVEだと言う。

 「WAVEは、すべての社員が利用できます。これまでAnalyticsの業界ではいろいろな人用に別々のアプリケーションを用意してきました。WAVEはすべての人が簡単に使えるものです」(ベニオフ氏)

 たんにさまざまなユーザーが簡単に分析機能を利用できるだけでなく、分析用のアプリケーションをサードベンダーがWAVEの上で作れる仕組みにもなっているとのこと。WAVEではSalesforce1のプラットフォームを使っており、複数のアプリケーションを使っていても顧客は一元的に分析機能を利用できる。データは既存のSalesforceアプリケーションのものとは別のAnalytics専用データベースに集約される。このデータベースはカラムストアー型に近い構造をもつ独自開発のデータベースとなっているようだ。

 Salesforceの既存のダッシュボード機能は、該当するアプリケーションの情報だけをレポートする仕組みだ。WAVEでは複数のSalesforceアプリケーションのデータを集約しインタラクティブに分析することが可能となる。さらに、外部のデータを取り込める仕組みも提供される。

 Analyticsの分析画面のユーザーインターフェイスは、すべてが最初からモバイルに対応している。「オフィスの会議室で意思決定をするのではなく、顧客の近くのビジネス現場でより良い意思決定をタイムリーにする必要があります」とベニオフ氏は指摘する。そのためには、このモバイル対応と誰でも利用できることが重要な要素になる。「いまは高速な会社が勝利します」とベニオフ氏。さらに、顧客ともつながっていなければならないとも言う。

 「Salesforceはすべてがつながっています。クラウドによって機能は必要なときに追加できます。それにより極めて高速に対応できます。アプリケーションが、意思決定をその場で助けてくれるようになります」(ベニオフ氏)

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アプリケーションを超高速に開発するLightningが登場

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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