金融商品取引法とは
2007年9月末に施行された金融商品取引法では、投資家を保護する観点から、金融商品の販売・勧誘・開示に関する明確なルールが定められました。例えば、金融商品取引業者が投資信託、変額年金保険、外貨預金などのリスク商品を販売する際は、次のような行為規制を遵守する必要があります。
- 広告などの規制
- 適合性の原則
- 勧誘ルール(不招請勧誘の禁止、勧誘受諾意思の確認義務、再勧誘の禁止等)
- 契約締結前の書面交付義務
- 契約締結時などの書面交付義務
渉外活動における留意点
中でも、渉外活動において特に留意したいのが以下の3点です。
適合性の原則
これは、「顧客の知識、経験、財産の状況および契約締結の目的に照らして不適当な勧誘により投資者の保護に欠ける」行為を禁止するものです。例えば、過去に投資経験がまったくない顧客に対してハイリスク型の投資信託を勧誘することはできません。また、毎月数万円程度の年金収入しかない高齢者に返済が困難になるような金額の商品やサービスを勧誘する行為も禁止されています。
勧誘ルールの「再勧誘の禁止」
これは、「勧誘を受けた顧客が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにもかかわらず勧誘を継続する」行為を禁止するものです。金融商品取引業者は、勧誘拒否の意思表示があった顧客に対しては、当該商品の再勧誘を行ってはいけません。よって、顧客から勧誘拒否の意思表示を銀行の店頭窓口で受け付けた場合、当該情報を渉外担当者やコールセンターの担当者との間で共有しておく必要があります。もし、十分な情報共有がされていない場合、店頭窓口で勧誘拒否の意思表示を行った顧客に対して、他のチャネル経由で再勧誘してしまう危険性が生じます。
契約締結前の書面交付義務
これは、「顧客に対し、当該業者の商号等、契約の概要および顧客の判断に重要な影響を及ぼす一定の事項を記載した書面を、契約締結前に交付しなければならない」というものです。金融商品取引業者は顧客に対し、その顧客が商品やサービスについて十分理解したうえで取引いただくために、当該商品やサービスについての概要、リスクや手数料などの重要事項を記載した書面(契約締結前交付書面)を事前に交付しなければなりません。