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企業データ活用は次のステージへ 地図機能やテキスト分析の敷居を下げる

edited by DB Online   2015/04/09 06:00

 企業のデータ活用は次の段階へと進んでいる。3月13日に開催されたDB Online Dayでは、ウイングアーク1st 大畠幸男氏が最新のデータ活用手法について紹介した。

 売上や在庫など業務システムが出す数値を見る、グラフ化してレポートを作成する──これらは日常的に見慣れた業務データ活用の姿である。近年では新たなデータ活用の道が開けてきている。例えば地図との重ね合わせ、テキスト分析、第三者データの活用などだ。表やグラフだけでは見えてこない新しい「気づき」はビジネスを変えていく。

 ウイングアーク1st 大畠幸男氏
 ウイングアーク1st 大畠幸男氏

地図・GIS機能利用時の敷居を徹底的に排除

 ウイングアーク1stは長きにわたり帳票システムを手がけており、帳票分野にいち早く最新技術を導入している。BIツールに地図機能を搭載したのも早かった。しかし当時のユーザーの目は「冷めていた」と大畠氏は言う。顧客に行ったアンケートによると「BIツールに地図・GIS機能が必要」と肯定的な回答はわずか5%だった。

 残り95%の必要と思えない理由はというと、「地図の利用イメージがない」「高価」「環境構築の敷居が高い」との回答だった。そこで同社は、徹底的に地図利用に対するハードルを下げることにしたのだ。

 例えばコストを下げた。標準機能に搭載することで追加費用がかからないようにし、導入の敷居も下げた。システム導入や設定にプログラミングは不要で、高いスキルを必要としない。

 利便性も高めた。一般的に地図機能を手ごろに使うには地図のWebサービスと組み合わせることが多いため、利用する端末は常時オンラインである必要がある。これをオフラインでも使えるようにした。

 印刷可能としたのも地味ながらも画期的だ。一般的に、地図をパンフレットや資料に利用する場合、権利の関係で事前に利用申請が必要なものもあるためだ。自社内の分析に使用するのはいいが、セミナーで顧客に配布しようとすると手間と時間がかかる…ということも多々ある。これを印刷での配布も可能なデータにした。

 企業が持つ業務データを地図と組み合わせると、今まで見えなかったものが見えてくる。例えば「エリア表現」。売上データの数値を都道府県などエリア別に表示すると地域ごとに傾向が見えてくる。または「ポイント表現」。顧客の住所を地図上にマッピングすると顧客の分布状況が分かり、今後の戦略に活かすことにもつながる。

 技術的な課題もクリアした。住所データだけでは地図上へのポイントができない。住所を表す文字情報は緯度経度のデータではないからだ。そのため、住所データから緯度経度への変換=GEOコーディングが必要となる。

 ウイングアーク1stでは独自の「リアルタイムGEOコーディング」エンジンを搭載しており、その高い性能が特長だ。これまでの他社製品では1秒あたりのGEOコーディング件数は2~50件程度となるところ、同社製品では1秒当たり33万件。50件と比較しても6,600倍もの性能比となる。また、住所情報は常に変化するためメンテナンスコストが発生するものの、同社製品なら住所のゆらぎを吸収するためメンテナンス不要となる。

 データと地図が簡単に組み合わせられるとなると、分析の可能性は大きく広がる。

 「リアルタイムGEOコーディング」利用イメージ:地図上に名刺情報などを一挙にプロットできる
 「リアルタイムGEOコーディング」利用イメージ:地図上に名刺情報などを一挙にプロットできる

テキスト分析からビジネスに必要なアクションが見えてくる

 文字情報として記録されているテキストデータも活用の余地がある。例えば顧客からの問い合わせのやりとりや業務日報などだ。文章になっていると、内容を理解するには人間の言語能力が必要だった。しかし今では、言語分析技術も進んできている。

 文章を「形態素」、つまり意味のある単位に区切り、辞書と照らし合わせて内容を解析する技術に「形態素解析」がある。これにより文章で記録されているデータを集計、分析することが可能となる。テキストデータ分析で重要となるのは3つ。頻出語、増加傾向、新出語だ。

頻出語

 日報や活動報告で「クレーム」という単語が頻出語であることが分かれば、クレームの背景を調査する必要性に気づくことができる。問題の芽を小さなうちから摘み、サービスや製品改善へとつなげられる。

増加傾向

 営業日報に「競合」という単語が増加しているとなれば、営業の現場は何らかの競合の存在に直面していることになる。こうした情報が経営層に届くまでに、果たしてどれだけ時間がかかるだろうか。企業としては競合および市場調査を早急に実施して、競争力を高めることにつなげられる。

新出語

 業界動向レポートや顧客とのやりとりで新しい用語(キーワード)が出てきたら、早めに用語を把握する必要がある。市場トレンドをいち早く察知し、ビジネスへの対応を早めることができる。

 テキストデータ活用で見えてくること
テキストデータ活用で見えてくること

 どれも企業内システムが記録しているデータではあるものの、ただ保存しているだけではもったいない。頻出語、増加傾向にある用語、新出語は目を通している人間なら気づくかもしれないが、集計で把握できれば上層への報告など次の行動にも移しやすいのではないだろうか。

第三者データとの組み合わせでより新たなビジネス機会を創造する

 近年、ビッグデータが注目されており、多様な情報を組み合わせることで新たな気づきを得るという話を耳にしているはず。実際に「やってみたい」と思ったとしても「まだ一般の企業には敷居が高いのでは」と感じている人は少なくない。最初の壁となるのが、外部のデータをどう入手するか。より最新のデータをいかに早く入手して分析や集計のシステムと組み合わせるか、だ。

 そこに力強い味方となりそうなのが、ウイングアーク1stの第三者データ提供サービス「3rd Party Data Gallery」だ。事業者・建物・施設データ、地理・気象データ、商品・消費動向データ、人口・世帯統計データ、評価・口コミデータといった分野のデータをピックアップして入手できる。まるでデータの卸市場のように多様なデータソースを取りそろえており、データ活用の幅が広がりそうだ。

 自社が持つデータにこうしたデータを組み合わせると、より客観的な視点で分析を行うことが可能となる。大畠氏は企業が新規出店を考えていることを想定してデモを行った。新規出店候補地として有楽町と新橋が挙げられていたとする。地図上に昼間の人口の年代別分布や既存店舗分布を表示することで、候補地が競争の激しいレッドオーシャンか逆のブルーオーシャンかが把握できる。競争は激しいのか、チャンスは大きいのか、戦略に合っているのか、事前に多くのことを知りうるというわけだ。

 また大畠氏はウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard」で「チャートとデータの仮想統合を実現します」と話す。会計システムや販売データといった分析から得られるチャートやレポートをメッセージとして共有したり、気づきのコメントなどをダッシュボード上で統合したりする。一見簡単そうに見えるが、システムやデータソースが異なると統合するのは簡単ではない。また、部や企業の統廃合だけでなく、グループ企業や海外のデータソースを活用したいという要望も出てくる。ウイングアーク1stでは、「MotionBoard Bridge Service」で離れた場所のデータ統合や、「File Connetor」にてクラウドストレージ上のデータ活用までも実現する。

 チャットとデータの仮想統合
チャットとデータの仮想統合

 大畠氏は最後に「これらの新しい機能を搭載したMortionBoard Ver5.5を、5月に始動します」と新バージョンについて予告した。企業のデータ活用を飛躍的に高め、ビジネス成長につなげられそうだ。

著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    EnterpriseZine/Security Online キュレーター フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。 Webサイト:http://emiekayama.net

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