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ERPパッケージ市場、2014年は前年比6.2%増で堅調だが伸び率は減少――矢野経済研究所が調査

 この調査は、ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージを、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理パッケージソフトウェアとして、基幹業務の一部機能のみを持ち、ERPパッケージのモジュール(構成要素)となるパッケージソフトウェアも対象とした。

2015年は前年比8.2%増の1,169億2,000万円予測

 2014年の国内ERPパッケージライセンス市場は、前年比6.2%増の1,080億6,000万円(エンドユーザ渡し価格ベース)となった。ここ数年、堅調な成長を維持しているが、伸び率は2012年の2桁増から減少傾向である。

 ERPへの投資は、2008年のリーマンショックで予算が凍結されるなどのあおりを受けていったん停滞したが、2011~2012年頃から再開された。多くのユーザ企業が先延ばしになったERP導入に着手するなどして回復基調に乗り、2012年の伸び率は2桁増と高い成長を示す結果になった。

 ERPへの投資回復が一巡するまで、このトレンドは5年程続くものと考えたが、2015 年の段階で終盤に近付いていると予測する。

 2015年も景気などの経営環境は悪くないため緩やかな成長が続き、2015年のERPパッケージライセンス市場は、2014年の消費税増税前の駆け込み需要刈取り後の反動減からの回復や、マイナンバー制度導入による市場の活性化などを見込み、前年比8.2%増の1,169億2,000万円(エンドユーザ渡し価格ベース)になると予測する。

 今後は、ユーザ企業のERP システム導入ニーズが一服する段階にあることを考えれば、ERPベンダーの競争環境は厳しさを増すと考えられる。他方、製造業、特に自動車産業を中心とした加工組立業では海外拠点へのシステム導入を中心に、未だERPへの投資が活発な状況が見られる。

2015年以降のトレンドはクラウド化の進展に注目

 2015年以降に注目すべきトレンドは、クラウド化の進展である。ERPはCRM(Customer Relationship Management)やグループウェア等情報系のシステムと比較して、セキュリティの確保や他システムとの連携の必要性等の理由からクラウドの利用率が低く、現時点ではクラウドを利用しているユーザ企業は少ない。

 しかし、クラウドの普及と市場の成長に伴って、2014年頃からはユーザ企業のニーズには変化が起きている。ERPの新規導入を検討する際には、まずクラウドの利用が有効かどうか検討する傾向も見受けられる。

 特に、クラウド基盤サービス(IaaS:Infrastructure as a Service、PaaS:Platform as a Service)の利用が増加している。クラウド基盤サービスは技術の高度化とコストダウンが進んでおり、オンプレミスと比較しても、コストやセキュリティについての制限やデメリットはないといえる。

 ただし、クラウド上で最適なシステム構築と運用にはオンプレミスとは異なるノウハウも必要になるため、ベンダーには、クラウドでの利用を保証するサービスの提供や、クラウド上でセキュリティ確保やコストやパフォーマンスを最適にするための支援体制構築が急がれる。

 また、有力ベンダーがSaaS(Software as a Service)によるアプリケーション提供サービスを強化する動きも進んでいるため、クラウド基盤のみならず、アプリケーションをSaaSとして利用するケースも今後は増えると予測する。

図表:ERP パッケージライセンス市場の市場規模推移と予測(作成:矢野経済研究所)  

 なお、この発表の詳細は、矢野経済研究所が刊行した「2015 ERP市場の実態と展望」にまとめられている。

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