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IBM Db2を選んでみたらこうなった

edited by DB Online   2017/12/01 11:00

 業界きってのDb2エキスパートが一堂に会して、Db2に関する“濃い”トークが繰り広げられた「Db2メッタ斬り!」座談会。前回は「Db2の好きなところ」「イマイチなところ」について各参加者に本音で語り合ってもらったが、後編となる今回はさらに深く踏み入って、気になる機能や最新機能の印象などについてマニアックなトークが繰り広げられた模様をお届けする。

 <座談会参加者>

  •  株式会社ライトウェル 企画管理部 商品企画管理グループ 主任技師 新田俊邦氏
  •  株式会社ラック ITサービス事業部 ITサービス第三部 GL 三森悟毅氏
  •  株式会社JIEC 基盤エンジニアリング事業部 齊田祐治氏
  •  ニッセイ情報テクノロジー株式会社 基盤ソリューション事業部 基盤ソリューションブロック 専門職 佐藤圭吾氏
  •  日本IBMシステムズ・エンジニアリング株式会社 ITスペシャリスト 大月真史氏

 <モデレータ>

  •  DB Online チーフキュレーター 谷川耕一氏

Db2はシンプルであるが故に学習教材として最適

左から、
左から、IBM大月氏/ニッセイ情報テクノロジー佐藤氏/ライトウェル新田氏/
ラック三森氏/JIEC齊田氏/DBオンライン谷川氏

谷川氏:皆さんはこれまで長らくDb2を使ってきて、既にかなりのノウハウをお持ちかと思いますが、それらを後進のエンジニアに伝えて人材を育成していく取り組みもこれからは大事になってくるかと思います。もし後輩にDb2の魅力を伝えたり、Db2の利用を勧めるとしたら、どんな点をプッシュしますか?

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「Db2のどんな点をプッシュしますか?」(谷川氏)

齊田氏:私はAIX基盤上のDb2の構築や運用を主に手掛けているのですが、AIX上でのシェルの組みやすさは格別だと思います。これはぜひ、他のエンジニアにも知ってもらいたいですね。個人的にもいろいろなTipsが蓄積できてきたので、現在はそれらを整理して若手エンジニアに伝授しているところです。

三森氏:私が所属する会社では、お客様の要望しだいでDb2もOracle Databaseもどちらも扱うことがあるので、後輩にはいつも「Db2とOracle、どちらもできた方がいい」と伝えています。どちらか一方で得たスキルは、大抵の場合もう一方にも応用できますし、両方について知ることでそれぞれの特性をより深く知ることもできます。

新田氏:Db2に対して「高価」「ハードルが高い」と感じている若手エンジニアも少なくないと思いますが、実はDb2には「Db2 Express-C」という無償版があって、データベース容量が15Tバイトまでであれば商用利用できます。他の商用データベース製品で、ここまで大容量のデータベースを無償で商用利用できるものはありませんから、実は気軽に試すデータベースとしても大いにお勧めできます。

佐藤氏:各機能の仕様や設計思想が堅実でシンプル、かつドキュメントが充実しているので、Db2をきちんと勉強すればリレーショナルデータベースに対する基本的な理解を深めることができると思います。そうして得たスキルは、他のデータベース製品を使うときにもきっと役立つはずです。

谷川氏:最近のデータベース製品は、多機能化や自動化が進んで、逆に内部動作が分かりにくくなっているところもありますから、逆にDb2のようなシンプルな製品を最初に学んだ方が学習効果が高いのかもしれませんね。

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「IBM Cloudのアカウントを持っていれば、
クラウド版のDb2(Db2 Warehouse on Cloud)の小容量のプランを無償で利用できるので是非」(大月氏)

大月氏:IBM Cloudのアカウントをお持ちであれば、クラウド版のDb2(Db2 Warehouse on Cloud)が小容量のプランであれば無償でお使いいただけます。データベースの学習用途にはお勧めです。「分析用のデータベースを試しに立ててみたい」といった用途向けに出したのですが、意外といろいろな用途で使われることが多いようです。ちょっとしたRDBのサービスが欲しい時に便利です。ここでSQLを書けば、それがオンプレミスでも使えますし、アプライアンスでも使えます。Db2という統一ブランドで、オンプレミスもクラウドサービスも提供するようになりましたので、是非クラウドサービスもさわってみて下さると嬉しいです。

HTAP時代の到来に向け期待を集める「BLUアクセラレーション」

谷川氏:皆さん、Db2の「シンプルさ」を高く評価されているようですが、とはいえ他製品にはない特徴的な機能もさまざま備えていますし、近頃では最新の技術トレンドを先取りした個性的な機能も加わっています。特に気に入っている機能や気になる機能などはありますか?

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「地味な機能だが、ページサイズとバッファプールをきめ細かく設定できる点はとても気に入っている」(新田氏)

新田氏:地味な機能かもしれませんが、ページサイズとバッファプールをきめ細かく設定できる点はとても気に入っています。他のデータベースの中には、3パターンぐらいしか設定できないものもあって、これはこれで設定に悩む必要がなくていいのかもしれませんが、カリカリにチューニングしたい人にとってはDb2のこうした機能はありがたいですね。

三森氏:Db2固有の機能に「マルチディメンションクラスタリング(MDC)」というものがあるのですが、これを使うとアプリケーション間でのロック競合をうまく回避できます。恐らく他のデータベース製品にはない機能だと思うのですが、個人的にはとても重宝しています。

齊田氏:私もMDCは、地味だけどとてもいい機能だと思います。実際、当初はパーティションを使う予定だった案件で、よくよく要件を再検討してみたところMDCでも要件を満たせることが分かって、結局はMDCで済ませたというケースも結構あります。あと個人的には、「db2top」というモニタリングツールがとても気に入っています。現在の稼動状況をリアルタイムで簡単に把握できるので、監視だけでなく性能検証やチューニングでも大変重宝しています。

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「MDCは、地味だけどとてもいい機能」(齊田氏)

新田氏:あと、まだ本格的には触っていないのですが、「BLUアクセラレーション」はとても尖った技術だと思います。ちょうど最近、トランザクション処理と分析処理を同じインメモリデータベース上で処理するHTAP(Hybrid Transaction/Analytical Processing)技術が注目を集めていて、他のデータベース製品もこれに対応する機能を次々と打ち出していますが、その中でもDb2のBLUアクセラレーションは妥協のない、とても「男らしい」仕様だと思います。

谷川氏:確かにHTAPは現在高い注目を集めていますが、実際にそのニーズを現場で感じることはありますか?

新田氏:当初はOLTPとして設計したアプリケーションが、ユーザーの要望に応えるために少しずつ分析機能も取り入れていった結果、いつの間にかハイブリッドアプリケーションになっていたということがしばしばあります。こうしたケースを想定して、2年ほど前にBLUアクセラレーションのベンチマークテストを行ったのですが、非常に高速だった上に、圧縮率がとても高いので、当時はまだ高価だったフラッシュディスクでも十分に使えそうだという感触を得ました。

三森氏:比較的新しい機能でトラブルの話もたまに聞く「Db2 pureScale」のクラスタ機能ですが、私が初めて手掛けたときはほぼノントラブルで実装できました。それも、何か特別なことをしたわけではなくて、普通に構築して、普通に使ってもらって、あとはちょっとチューニングしたたけです。

谷川氏:pureScaleは確かに、ちょっと扱いにくいイメージを持たれているかもしれません。

三森氏:GPFS(IBM General Parallel File System)がネックとなり、pureScaleに対して「敷居が高い」と感じる人はいるかもしれませんね。私はたまたまGPFSの経験があったので、pureScaleにもすんなり入れたのかもしれません。個人的には、うまく扱えばあれほどいいファイルシステムはないと思っているのですが、この点もなかなか周囲からは理解を得られません(笑)。

大月氏:私もpureScaleの導入プロジェクトには多く携わりましたが、「どれだけ難しいことをやろうとしているか」によって導入ハードルの高さもかなり違ってくるような気がします。でも確かに、ほとんど何の問題もなく導入できる例も多いですし、品質も昔と比べればかなり上がっています。決して「触ったら火傷する」ようなものではありません(笑)

これからDb2をもっと世の中に広めていくためには?

cap

谷川氏:Db2というと、企業の基幹システムやミッションクリティカルなシステムで使われているイメージが強いのですが、そうしたプロジェクトにこれまで携わってきて、何かDb2に関して特別に印象に残っていることはありますか?

新田氏:とある大手企業の案件だったのですが、アプリケーションを開発しているSIerにDb2の開発実績があまりなく、当初はプロジェクトの先行きに不安を感じていたのですが、IBMのSEさんが非常に優秀な方で、Db2のSQLを記述する際のノウハウや勘所をまとめた社内資料などを共有いただいた結果、Db2周りは大きなトラブルなくプロジェクトを終えることができました。

谷川氏:Db2のスキルを持ったエンジニアが少ないプロジェクトでは、そうしたIBMのサポートがやはり心強いですね。逆に、IBMやDb2に対して何か要望はありますか?

佐藤氏:やっぱり他のデータベース製品と比べると、Db2はエンジニアの絶対数が少ないので、ぜひ仲間を増やしていきたいと考えています。そのためには、例えばDb2について手軽に学べるような入門書などをIBMさんから出していただけると、Db2未経験者にとってのハードルがぐんと低くなると思います。また個人的にもQiitaなどでDb2に関する情報を発信しているのですが、仲間を増やすためにもっといろんなことをやっていきたいと考えているので、ぜひ今後ともIBMさんとご一緒できればと思っています。

新田氏:先ほども言いましたが、アプリケーションが期せずしてハイブリッドになってしまって、OLTPとOLAPの混在に苦しんでいるユーザーを救ってくれるHTAPを、リーズナブルで手が届く価格で提供していただけるとうれしいですね。わがままは重々承知なのですが(笑)。でもこれからのデータベースは、やはりそうした方向に進んでいくのではと考えています。

齊田氏:個人的には、AIXのパフォーマンス監視ツール「nmon analyser」と同じようなものがDb2にあると、とても助かりますね。OSとデータベースのパフォーマンスを統一インタフェースで監視できるようになりますし、Db2のパフォーマンス情報をグラフ化して誰でも簡単に把握できるようになれば、とても便利だと思います。あと、以前使ったことがある有償のユーティリティ「DB2 High Performance Unload」がとても便利だったので、Db2の標準機能に組み込まれるとうれしいですね。

大月氏:mon_get _databaseのアナライザー―をISEで作ってdeveloperWorksに公開しているので、是非使ってみて下さい。

三森氏:私は特に不満はないのですが、ただメインフレーム版とオープンプラットフォーム版(Db2 for LUW)の間の乖離がちょっと激しすぎるような気が……しかも、それぞれのエンジニア同士も乖離してしまっているような気がします。

一同:(爆笑)

三森氏:メインフレームをやってる人は、Db2 for LUWのことをちょっと下に見ているところもあったりして。でも同じDb2をやっている仲間同士、もうそろそろ仲良くしましょう!

(終わり)

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著者プロフィール

  • 吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

    早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

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