全社的利用は1割強で部門内に閉じた利用が多いことが判明
IDCでは同市場の動向を調査するため、2017年9月に、従業員100人以上の国内企業のマーケティング関連業務従事者、マーケティングIT管理者を対象とした「マーケティングITに関する企業ユーザー調査」を実施し、644社から有効回答を得た。調査によると、マーケティングITは、パッケージ/SaaS(Software as a Service)共に、2016年から2017年にかけて利用率が7ポイント程度上昇しており、導入が進んだと考えられる。
一方で利用内容については、「全社レベルで利用している」とした回答者は、パッケージ利用で12.0%、SaaSでは10.2%に留まっており、マーケティングITの活用が事業部門の中に閉じていることが判明した。また、「全社レベルで結果が経営会議に報告」されている企業はパッケージで3.3%、SaaSで9.9%であり、経営に対するマーケティングの可視化が不足しているのが現状であることが分かった。
機能面では、「モバイル/Web/ソーシャルへの広告配信」や「社内ソーシャル(との連携)」「セールス向けポータル」などが2017年で利用率が増加しており、ターゲットの変化がみられる結果となった。また、マーケティングITの課題としては、「費用対効果が不明確」「他のCRM(Customer Relationship Management)との連携ができていない」などの回答率が高く、マーケティングITが単独で導入されている傾向が窺える結果となっています。
2016年の市場規模は前年比8.1%増の593億7,200万円
上記のようなユーザー企業の利用動向と市場背景を分析し、2016年の国内デジタルマーケティング関連ソフトウェア市場規模は、前年比8.1%増の593億7,200万円、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.8%で推移し、2021年には824億4,200万円になると予測している。2017年以降の同市場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の台頭や顧客情報の分析/マーケティング自動化需要などの要因によって、堅調に成長するとみている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング グループディレクターの眞鍋敬氏は「デジタルネイティブ世代が従業員や市場構成員の多くを占める市場背景では、デジタルマーケティングは必須であり、人手では不可能なITによるマーケティング業務が求められている。ITサプライヤーは、マーケティングITのユーザー企業に対し、投資対効果の事例による明確化、マーケティングばかりでなくCRMシステム全体の提案の強化が求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内デジタルマーケティング関連ソフトウェア市場動向」にその詳細が報告されている。