「地方創生」政策が間接的にSMBのIT支出を促進させる可能性
大都市圏以外の地域では、人口減少、企業流出によって地域経済は停滞しており、さらに若年層、企業が大都市圏へ流出してしまうネガティブサイクルに陥る地域も増えつつある。このような状況で、政府が中心となり地方自治体、地域金融機関では「地方創生」政策を推進している。これらの施策は、広範囲にわたっているが、間接的にSMBのIT支出を促進させる可能性があるとみている。
特に「地域企業/個人事業主支援」分野では、スタートアップ企業の創業支援、観光活性化、小売業、サービス業、製造業など企業支援施策が推進されているほか、「住民生活の改善」分野では、地域住民の安全安心の確保、住環境の改善、利便性の向上を図るための施策だが、地方自治体などの支援を受け、SMBが関連する事業を推進するケースも多くなるとみている。
地方自治体、地域金融機関を中心にさまざまな取り組みを開始
国内SMBユーザー調査において、「地方創生」施策によるIT支出への影響を聞いたところ、現時点では、「自社への影響も、IT投資計画への影響もない」「その影響度がわからないためIT投資計画も未定」と回答したSMBは全体の約60%となっており、「地方創生」施策に対して様子見の状況となっている。
ただし、九州/沖縄地方では「営業強化のためのIT投資を拡大」を挙げる企業が多い他、北海道/東北地方では「生産性強化のためのIT投資を拡大」「業務効率化のためのIT投資を拡大」を挙げる企業が比較的多く、これらの地域では、「地方創生」政策を契機としてIT支出拡充を検討する企業が多くなるとみている。
現状多くのSMBが「地方創生」施策に対して様子見の状況のままとなっているが、地方自治体、地域金融機関を中心に多くの企業/団体が、さまざまな取り組みを開始している。これらの取り組みが、大都市圏以外の地域のSMBにおいて直接的、間接的に影響が及びつつあり、今後のIT支出の促進要因となる可能性があるとみている。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITサプライヤーは、新たなビジネス拡大の契機とするために、地方自治体、地域金融機関など連携した『地方創生』施策をより積極的にリードするべきである」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内SMB IT市場 ITを活用した地方創生の取り組み」にその詳細が報告されている。