クラウドシフトの影響はADC市場にも
製品分野別で見ても、いずれも大きな成長は見込みにくいと予測している。最も市場規模が大きいデータセンター向けイーサネットスイッチ市場は、2016年~2021年のCAGRが2.4%と以前の高成長と比べると成長は鈍化している。企業ITシステムのクラウドシフトの動きを背景に、パブリッククラウドやプライベートクラウド向けが市場をけん引するものの、クラウド以外の需要減少が成長を抑制するとIDCではみている。
また、ADC(Application Delivery Controller)市場も、2016年~2021年のCAGRが0.8%と予測している。クラウドシフトの影響はADC市場にも表れ、クラウドサービスが提供するADCaaS(ADC as a Service)への需要移行がADC市場の拡大を阻害するとみている。
イーサネットスイッチ市場では注目のベンダーが引き続き成長
低成長時代に突入した国内データセンター向けネットワーク機器市場だが、同市場のリーダーであるシスコシステムズは、高いシェアを維持し続けている。また、F5ネットワークスも、ADC市場においてリーダーの地位を保っている。
データセンター向けイーサネットスイッチ市場では、近年、市場で注目を集めているベンダーが引き続き成長した。最近、エクストリームネットワークスに統合されたブロケード コミュニケーションズ システムズと、アリスタネットワークスは、2016年の国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場でシェアの拡大に成功している。
クラウドシフトの影響や市場の成熟化、新たな脅威の台頭によって変化している国内データセンター向けネットワーク機器市場において、データセンター向けネットワーク機器ベンダーは、「クラウドシフトやSDN(Software-Define Network)化の強い流れに対して、もはや抗うのではなく、クラウドに適した製品やSDN環境下で制御しやすい製品に製品戦略の重心を移すのが得策である」とIDC Japanコミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内データセンター向けネットワーク機器市場予測、2017年~2021年:データセンター向けイーサネットスイッチとADC」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内のデータセンター向けイーサネットスイッチとADCに関する2021年までの市場規模を予測している。また、「国内データセンター向けネットワーク機器市場シェア、2016年:データセンター向けイーサネットスイッチとADC」では、2016年のデータセンター向けネットワーク機器市場におけるベンダーシェアとベンダー動向を分析している。