調査結果によると、新しいアプリケーションの導入やワークロードの管理を行う際に、グローバルで56%の企業(日本は45%)がクラウドを最も重視しており(クラウドファースト)、今後2年間でクラウドを導入する予定がないと回答した企業はわずか1%だった。
一方、今回の調査では、データ管理の責任について大きな誤解があることが明らかになった。グローバルで実に69%の企業(日本は64%)が、データ保護、データプライバシー、およびコンプライアンスの責任がクラウドサービスプロバイダにあると誤解していた。
この調査は、ベリタスの委託を受けてVanson Bourne社が実施したもので、世界中のビジネス/ITの意思決定者1,200人(うち日本の意思決定者100人)を対象に行われた。この調査により、企業がビジネス戦略の重要な要素としてマルチクラウドを導入し、パブリッククラウドやホステッドプライベートクラウドなど、さまざまなクラウドサービスプロバイダを利用していることがわかった。特にIaaSについては、2社以上のクラウドプロバイダを利用している、または利用する予定があると回答した企業が67%と、全体の3分の2を超えた(日本は54%)。
また、3社以上のクラウドプロバイダを利用している、または利用する予定があると回答した企業は42%(日本は32%)だった。これらの企業には、耐障害性とデータセキュリティを強化し、設備投資と運用コストを削減するという共通の目標がある。
調査で明らかになった3つの重要な内容は次のとおり。
1. パブリッククラウドでのデータ管理に関する誤解
企業におけるマルチクラウドのアプローチが進んでいるが、特にパブリッククラウドに関して、データに対する最終的な責任が顧客とクラウドプロバイダのどちらにあるのかについて、誤解が広がっていることが明らかになった。
・IaaSを利用している、または利用する予定がある企業の8割以上にあたる83%(日本は82%)が、クラウド内のデータを保護するのはクラウドサービスプロバイダの務めであると考えている。
・回答者の3分の2以上(69%)が、データ保護、データプライバシー、およびコンプライアンスの全責任をクラウドサービスプロバイダに負わせることができると考えている(日本は64%)。
・半数以上(54%)の企業が、オンプレミスとクラウドの間でデータを安全に送受信するのはクラウドサービスプロバイダの責任であると考えている(日本は47%)。
・半数以上の(51%)の企業が、クラウド内のワークロードをバックアップするのはクラウドサービスプロバイダの責任であると考えている(日本は54%)。
・アプリケーションの稼働時間についても、半数を超える55%の企業が、クラウドサービスプロバイダに責任があると考えている(日本は48%)。
2. マルチクラウドの採用の拡大
大半の企業がパブリッククラウドやホステッドプライベートクラウドなどの複数のプラットフォームを利用している、または利用する予定であることも明らかになった。しかし、パブリッククラウドかホステッドプライベートクラウドかに関係なく、依然として多くの企業がクラウドへの移行で課題に直面している。一般的な課題としては次のようなものがある。
- クラウド移行の複雑さ(グローバル:37%、日本:29%)
- 従来のテクノロジによる制約(グローバル:36%、日本:25%)
- 社内スキルの欠如(グローバル:38%、日本:42%)
- 明確な戦略の欠如(グローバル:32%、日本:27%)
現在、グローバルで75% の企業(日本は77%)がIaaSパブリッククラウドプロバイダと連携しているが、回答者の16%(日本は9%)が5社以上のクラウドサービスプロバイダを利用している、または利用する予定があると答えている。回答者は、データプライバシー、セキュリティとコンプライアンス、ワークロードパフォーマンス、稼働時間は、クラウドサービスプロバイダの選択に影響する重要な決定要因であると答えている。
3. 今後のクラウドの動向
パブリッククラウドプロバイダを含むクラウドテクノロジへのIT支出は、2017年の12%から、今後2年間で18%まで増加することが予想されている(日本は11%から17%に増加)。この傾向はこれからも続き、より強くなっていくと思われる。現在1つのクラウドプロバイダを使用している企業の半数以上にあたる58%(日本では約8割となる79%)が、自社ポートフォリオを複数のクラウドプラットフォームに拡張する予定であると回答している。
より多くの企業がクラウドを最重視するようになれば、複雑なマルチクラウドの世界のかじ取りをすることが重要になる。オンプレミス環境と同様に、顧客はデータをクラウドに移行する上で、データ保護、コンプライアンス対応、ワークロードの移行性、さらには事業継続性やストレージの最適化に至るまで、データ管理のあらゆる側面について考えなければならない。