2017年の国内ソフトウェア市場は2兆8,579億1,400万円、前年比成長率が5.8%となった。2018年は、前年比成長率4.6%を見込んでいる。2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.5%、2022年には3兆5,694億9,900万円に達するとIDCでは予測している。3つの大分類市場の実績と予測は以下のとおり。
アプリケーション市場―2017年の前年比成長率6.3%、2017年~2022年は同3.8%
2017年のアプリケーション市場は前年比成長率が6.3%となった。マーケティングアプリケーションの活用拡大とセールスアプリケーションの中堅中小企業への浸透によってCRMアプリケーションが二桁成長を達成した。
また、企業の働き方改革の実践により、SaaS型のファイル同期/共有ソフトウェアやチームコラボレーティブアプリケーションなど場所やデバイスを問わずに業務を遂行することを支援するコラボレーティブアプリケーション市場も大きく伸びた。
2017年~2022年のCAGRは、3.8%とIDCでは予測している。マーケティングや顧客管理において、より一層データ活用が広まり、CRMアプリケーションが引き続き成長する。また、様々な業種においてAI(人工知能)の活用が拡大するに伴い、コグニティブ/AIソフトウェアプラットフォーム市場が急速に拡大するとみている。
アプリケーション開発/デプロイメント市場―ビッグデータへの取り組みで高成長
2017年のアプリケーション開発/デプロイメント市場は前年比成長率が6.6%となった。企業のビッグデータに対する取り組みが活性化し、構造化データに加えて非構造化データの管理に対する需要が拡大したことで、データ管理ソフトウェア市場が高い成長となった。さらに、データの分析や可視化への需要が増加し、データアナリティクスソフトウェア市場も高い成長となった。
この成長は今後も継続し、2017年~2022年のCAGRを6.9%とIDCでは予測している。さらに、クラウドサービスの利用拡大に伴い、複数のクラウドサービスやオンプレミスシステムとの連携やプロセスの自動化で必要となるインテグレーション/オーケストレーションミドルウェア市場も高い成長を予測している。
システムインフラストラクチャソフトウェア市場―SDN/SDSソフトウェア導入が成長の要因に
2017年のシステムインフラストラクチャソフトウェア市場は、前年比成長率が4.8%となった。働き方改革に向けてセキュアなリモートワーク/モバイルワーク環境の構築のために、バーチャルクライアントコンピューティングとモバイルデバイス管理ソフトウェアの導入が増加し、市場の成長を牽引した。
2017年~2022年のCAGRは、3.9%とIDCでは予測している。今後は、SDN(Software-defined Networks)ソフトウェアとSDS(Software-defined Storage)ソフトウェアの導入が本格化、それに伴いシステム自動化ソフトウェアに対するニーズの高まりが、システムインフラストラクチャソフトウェア市場の成長を促進させる要因になるとみている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、ソフトウェア市場の今後の見通しについて、「企業はデジタルマーケティング、IoT、AI、ブロックチェーン、セキュリティなどデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのサービスを顧客に提供していくために、データの活用をさらに拡大させていく。そこでは企業内外の様々なデータを収集し分析するためのデータプラットフォームの構築が不可欠であり、そのニーズの高まりがソフトウェア市場にとっての大きな成長要因にもなる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内ソフトウェア市場予測 2018年~2022年」にその詳細が報告されている。