5Gへの期待は快適なアクセス、通信料金削減に次いでIoT用途で大きい
今回の調査では、回答企業に5Gがビジネスにどのように役立つと期待しているかを尋ねた。その結果、「単純に通信料を削減」(第1位)、「モバイルアクセスの快適性向上」(第2位)に次いで、「IoTデバイスによる膨大なデータ取得/活用」「ネットワークを介した低遅延のシステム制御/自動化」「膨大な数のIoTデバイスの接続」の3つのIoT関連項目が第3位~第5位を占める結果となった。
第1位の「単純に通信料を削減」と第2位の「モバイルアクセスの快適性向上」はいずれも、ネットワークに対するニーズ調査で常に上位に挙がる項目。これらに関しては、今回も順当な調査結果であったと言える。
また、IoT関連項目が第3位~第5位であったことは、5GがIoT領域での活用を前提とした新規格であるとの認識が市場に浸透しており、かつ期待が高まっていることを裏付けるものであると、IDCでは考えている。特に第3位が「IoTデバイスによる膨大なデータ取得/活用」であったことは、「IoT×データ分析」による新たな価値創出への高い期待を示すものだという。
高精細ビデオによる臨場感の向上、固定回線の代替に対する期待はIoT関連より低い
一方、IoT関連よりも期待が高くなかったのが、「固定回線の代替」(第6位)と、「高精細ビデオ(4K/8K)による臨場感の向上」(第7位)、「AR/VRの活用」(第8位)だった。固定回線の代替については、5Gの特徴として高速大容量、高信頼性、低遅延性などが謳われているものの、現時点では実際の品質や安定性、価格などを予測できないことが理由と考えられる。
また、大画面やAR/VRへの高精細ビデオ配信などは、5Gの主なユースケースの1つとして紹介されることが多いが、このような活用方法を検討する企業は、IoT全般に比べやや少ないと考えられる。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「現在、IoTデバイスで収集したデータを機械学習などで分析しデータから価値を生み出すことに、多くの企業が高い関心を持っている。そうした機運の高まりが、5Gに対する期待やニーズにも反映されている」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 国内マネージドICTおよびネットワークサービス市場 企業ユーザー調査」にその詳細が報告されている。レポートでは、ネットワークサービス、SD-WAN、データセンターサービスなどに関する企業の利用動向を分析している。
今回の調査では特に、「データセンター/クラウドサービスの利用」「クラウド接続用WANに対するニーズ」「SD-WANに対するニーズ」「DX関連の新技術への取り組み」などのテーマで、企業のIT管理者を対象にアンケート調査を行い、国内950の企業から回答を得た。