2016年に成長を牽引した大型プロジェクトが終息し成長率が鈍化
国内ITサービス市場は、2014年と2015年の2年間、金融機関におけるシステム統合/更新や官公庁/地方自治体の支出拡大により、3%を超えるプラス成長を遂げた。しかしながら、2016年に入り、その間の成長を牽引した大型プロジェクトの終息に伴い、成長率が鈍化した。
2017年も、市場環境に大きな変化はなく、低い水準の成長率に留まった。国内ITサービス市場の成長は、依然として、基幹系システムの統合や刷新などの大型プロジェクトに大きく依存している。
2018年以降も市場全体を牽引する大型プロジェクトは限られるものの、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資の拡大や、2020年開催予定の東京オリンピック/パラリンピックによる支出拡大効果は見込まれる。その一方で、国内経済の低成長見通しや、ITサービスの代替製品/サービスの拡大は、市場成長を阻害する。
ITサービス事業者は企業に対して適切なDX評価指標を持つことを働きかけるべき
ITサービス事業者が成長するためには、企業のDXを支援する姿勢が必要になる。しかしながら、企業のDXに向けた取り組みは、2018年時点では、AIやIoTなどの個別のテクノロジーの導入や、事業部ごとの個別の取り組みに留まり、既存システムとの連携やエンタープライズIT全体としての変革が考慮されていないケースが目立つ。
こうした組織やシステムのサイロを解消するためには、DXを適切に評価するための新たな物差しを持つ必要がある。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は、「ITサービス事業者は、DXを評価するための新たな指標の必要性を理解し、企業に対して適切なDX評価指標を持つことを働きかけるべきである」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内ITサービス市場 産業分野別予測アップデート、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内ITサービス市場を12の市場セグメント、およびユーザ企業の産業分野別(18産業)に分類し、2022年までの市場規模予測を行っている。