DCサービスの利用形態は従来型のサービスからクラウド系サービスにシフト
DCサービス市場には、クラウド系サービスと非クラウド系サービスがある。クラウド系サービスとは、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどが提供するクラウドサービスや、そうしたクラウドサービスのサーバーに稼働環境を提供するサービスを指す。また、非クラウド系サービスとは、従来型のWebホスティングや業務システムアウトソーシングなどを指す。
国内企業の多くが、自社のITインフラ(サーバー、ストレージなど)をクラウドサービスに移行させる傾向にあるため、DCサービスの利用形態も従来型のサービスからクラウド系サービスにシフトしている。その結果、国内DCサービス市場では、クラウド系サービスの伸びがその成長の牽引役となっており、2020年には国内DCサービス市場の半分以上をクラウド系サービスが占めることになる。
AIやIoTの利用拡大で稼働基盤としてのクラウドサービスへの需要は一層高まる
また、企業や公的機関がクラウドサービスを利用する際には、重要な業務データを国内のDCで処理・保管したいというニーズが強いため、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどの外資系クラウド事業者は、国内DCに設置するサーバー/ストレージを増やしている。
これに伴い、こうしたサーバーなどの設置場所および稼働環境に対する需要が高まっており、DC内の稼働環境(電力やネットワーク回線など)を提供するためのDCサービスも、クラウド系サービスの一分野として市場の成長に寄与している。
今後、AIやIoTの利用が拡大すると、それらの稼働基盤としてのクラウドサービスへの需要は一層高まるとIDCではみている。同時に、クラウドサービス拠点としてのDCサービスには、低コストでスピーディな運用が求められることになる。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「拡大するキャパシティ需要に対応するための投資を継続すると同時に、運用コストの削減や運用効率の改善に取り組むことが、データセンター事業者にとって重要になる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内データセンターサービス市場予測、2018年~2022年」)にその詳細が報告されている。レポートでは、データセンターサービス市場を、事業者の種類(SI/ITベンダー、通信事業者、DC専業事業者)別に算出しているだけでなく、データセンターの所在地の地域別の予測データも掲載している。