国内DCのAIシステムは2018年の3,141ラックから2022年末には11,179ラックへ
発表によると、2018年末時点の国内DCに設置されているAIシステムは3,141ラックになる見込みで、2022年末時点には11,179ラックと、3.6倍になるとIDCでは予測している。AIスタートアップ企業でグーグルやAWSが提供するクラウド型のAIサービスの利用が拡大するために、商用の事業者DCにおける設置が増える見込みだ。
また、それと同時に、製造業やサービス業などの企業で実際のビジネスデータを利用したAIシステムの活用が進み、企業内DCに設置するケースも増加するとIDCではみている。これは、顧客情報など機密性の高いデータをクラウド上で処理することに抵抗感を抱く企業があるためだ。
AIシステムの消費電力は2022年には国内DC消費電力全体の4.8%に
AIシステムでは、学習フェーズの処理における消費電力と発熱量が大きくなる傾向がある。国内DCに設置されるAIシステムの消費電力は、2018年に国内DC消費電力全体の1.3%だが、2022年には4.8%を占めるものとみられる(ただし、ここで言う消費電力とは定格消費電力のことで、実際に使った電力量ではない)。
国内で新設されているDCの1拠点あたり電力キャパシティは増加傾向にあり、AIシステムの設置拡大に対応できるような設備仕様になりつつあるが、今後は冷却システムの見直しが必要になる。従来の空調設備では能力が不足し、冷却に必要な電力コストも過大になる可能性があるためだ。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「冷却水や冷却液を使った排熱など、冷却方式のイノベーションに備えて様々な実証実験を急ぐべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年 国内DX指向型データセンターファシリティ動向:エッジコンピューティングおよびコグニティブ/AIシステム」にその詳細が報告されている。