2018年は市場シェア28.7%を持つNTTコミュニケーションズが首位
2018年の国内WANサービス市場は、前年比成長率6.6%、市場規模5,954億円だった。企業の拠点間などを接続するWANサービスはすでに多くの企業に普及しているが、クラウドサービスへの新たな接続需要の急増などによって市場は拡大した。
国内WANサービス市場は、大手5社で市場の8割以上のシェアを占める寡占市場だが、WANサービスのコモディティ化とともに通信事業者間の競争はますます激しくなっている。
この市場で最大シェア(28.7%)を持つNTTコミュニケーションズは、先進技術への積極的な取り組み、グローバルビジネスの積極展開、WANサービスとマネージドサービス、セキュリティサービスなどのワンストップ提供などによる差別化を図ることで市場シェアトップを維持している。
これを、KDDI(市場シェア18.0%)、ソフトバンク(同14.9%)が積極攻勢で追い上げている。また、NTT西日本(同12.2%)、NTT東日本(同10.4%)は地域市場で高い信頼を獲得している。
競争の焦点はSD-WANや5Gなど新技術によるソリューション指向のWANサービスへ
今後の企業WANは、クラウドの利用拡大やデジタル変革への取り組みによって複雑化し、ニーズが多様化していくと予測される。また、SD-WAN(Software Defined-Network)などのネットワーク仮想化技術や5Gが企業WANに新しいアーキテクチャをもたらすと考えられる。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「通信事業者が今後、国内WANサービス市場でシェアを拡大するには、単純な回線販売から、SD-WANや5Gなどの新技術を活用し、企業のさまざまなニーズに対応可能なソリューション型のWANサービスを提供していく必要がある」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内WANサービス市場シェア、2018年:複雑化する企業 WANに対する新たなソリューション競争」および「国内通信サービス市場予測、2019年~2023年:DX における通信サービスの市場機会」にその詳細が報告されている。