2018年~2023年の年間平均成長率は5.5%、2023年市場規模は19兆4,817億円と予測
調査によると、2018年の国内第3のプラットフォーム市場の市場規模(支出額ベース)は、14兆8,909億円となり、前年比成長率は4.1%となった。IDCでは、同市場は2023年には19兆4,817億円に達し、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.5%になると予測している。
2018年は、前回予測よりも実績が下回り、市場規模は予測期間を通じて下方修正を行ったが、予測期間後半の2021年~2023年は堅調な成長を予測している。
IDCでは、国内第3のプラットフォーム市場を、消費者市場、企業市場、非企業市場(官公庁、自治体および教育)に分類し、同市場を分析した。この結果、消費者市場では、国内人口の減少を背景に同市場の大半を占めるモビリティ市場の拡大が見込めないこと、スマートフォン買い替え需要の低迷などによって、2018年~2023年のCAGRは0.6%とほぼ横ばいになると予測する。
特に2019年の消費増税、2020年の東京オリンピック/パラリンピック後の景況感低下による予測期間前半の成長率は低くなると予測している。予測期間の後半には、予測期間前半の反動による成長を予測している。
一方、企業市場では、クラウドサービスの利用進行、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資など高い成長率で推移すると予測しており、9.5%のCAGRを予測している。
非企業市場においては、堅調な成長を予測するが、企業分野と比較するとDXの取り組みがやや遅れており、また個人情報保護などの影響によるモビリティ/クラウド活用の遅れによって、業務プロセスのデジタル変革や新しいテクノロジーの活用への積極性が弱いことから、7.0%のCAGRを予測している。
IDCでは、第3のプラットフォーム市場全体のCAGRは5.5%を予測しており、前回予測よりも0.2ポイント下方修正した。これはモビリティ市場の実績が前回予測よりも低く、2018年のIT市場全体の実績が予測よりも支出額が低かったためだ。
企業分野を中心に、第3のプラットフォームを活用したDXの取り組みは加速すると予測しており、第3のプラットフォーム技術をクロス活用し、新たなエコシステムを開拓する新事業開発、「働き方改革」の推進、データを活用した顧客エクスペリエンス(CX)向上などへの取り組みなどが、同市場の堅調な成長の背景にあると分析している。
市場の短期~中期的成長は中堅~大企業でのDX推進にある
同市場を産業分野別に分析すると、特に成長が予測されるセグメントは組立製造、小売、専門的サービスであり、これらの業種では顧客のDX変革に対応しないと競争力を失うばかりでなく、現在の顧客を失うことになるため、危機感があるとIDCではみている。
特に製造業、小売業では、海外の競合他社がDXを進めており、グローバル競争力の維持/拡大を指向していると考えられる。金融、通信、情報サービスにおいてもCAGRが9%を超えると予測している。
各業種ともに、AIシステム/センシング/拡張現実などの新たなテクノロジーを活用した、プラントのスマート化、コネクテッドサービス、ダイナミックプライシングや無人店舗などの増加などの市場投入が進むことで、堅調な成長を予測している。
これらの新たなソリューションは、単一のテクノロジーでは実現できず、複数のテクノロジーを巧みに組み合わせることによって達成可能になるとIDCでは予測している。
同市場を従業員規模別に分析すると、従業員規模1,000人以上の大企業のCAGRが10.7%と最も高く、次いで従業員規模500~999人の中堅企業が9.4%、従業員規模100~499人では8.5%の堅調の成長を予測している。
DXに対する投資体力、IT設計/導入/運用管理人材の課題、保有する顧客データや分析対象データの量などに依存して、大企業ほど成長率が高い結果となった。これらの動向から、IDCでは、同市場の短期~中期的成長は、中堅~大企業でのDX推進にあると予測している。
IDC Japanグループディレクターの眞鍋敬氏は、「DXは将来、社会システムの革新を実現する。ITサプライヤーは、DXによる社会システムの変化や社会からの要請の変化を考慮しながら顧客の進めるDXに対応し、ITソリューションの支援を行っていくべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内第3のプラットフォーム市場 産業分野別/企業規模別予測、2019年~2023年」にその詳細が報告されている。