無線LANコントローラーを含めた市場規模は前年から24.8%増加
好調な国内企業向けネットワーク機器市場の中でも、企業向け無線LAN機器市場は、2018年も大きく成長した。アクセスポイントの出荷台数は、81万台に達し、無線LANコントローラーを含めた市場規模は前年から24.8%増加した。
こうした成長の背景には、企業がネットワークアクセス手段として無線を第一に考える「ワイヤレスファースト」の動きが浸透してきていることにあるとIDCでは分析している。
企業におけるモバイルデバイスの活用がいっそう進んでいることや、「働き方改革」の掛け声の下に進むオフィス環境や働く場所の変化に応じた無線LANの導入拡大が、ワイヤレスファーストを後押ししている。
「有線ネットワークと同等の導入および運用における容易性の実現に努めるべき」
企業向けイーサネットスイッチ市場も、2018年は前年比成長率5.3%と好調。データセンター向けも企業内LAN向けもいずれも伸びており、企業内LAN向けの前年比成長率は4.8%と成熟市場としては高い成長率だった。
国内経済状況の安定に加えて、無線LAN導入拡大に伴う有線LAN環境の見直し気運の高まりや、ネットワーク自動化、可視化、セキュリティ強化に伴うLAN環境の更新機会の増加も成長を牽引したとIDCでは分析している。
今後も「ワイヤレスファースト」の進展と共に、企業向け無線LAN機器市場は成長を続けるとみている。同市場の2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は、アクセスポイントの出荷台数が4.6%、支出額ベースで2.1%と予測している。
一方で、企業向けイーサネットスイッチや企業向けルーター市場は、今後成熟化が進行するため、企業向けネットワーク機器市場全体の2018年~2023年のCAGRは、マイナス3.5%と予測している。
ワイヤレスファーストの動きがいっそう鮮明になる中で、IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーである草野賢一氏は、「企業向けネットワーク機器ベンダーは、ワイヤレスファーストにふさわしい無線ネットワークの実現に向け製品開発いっそう強め、有線ネットワークと同等の導入および運用における容易性の実現に努めるべきである。有線ネットワークのような「手軽」で「手間なし」と表現できるレベルにまで到達するには改良の余地は今なお多く残されている」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内企業向けネットワーク機器市場予測、2019年~2023年」にその詳細が報告されている。