デロイトトーマツグループは、5月27日に「Tech Trends 2020日本版」を発行した。これは、デロイトグローバルが毎年まとめている最先端のデジタル領域に関するレポートに、日本独自の動向と見解を加えて解説したものになる。
「Tech Trends 2020」では、デジタルエクスペリエンス、アナリティクス、クラウド、デジタルリアリティ(DR)、コグニティブ、ブロックチェーン、ビジネステクノロジー、リスク、コアモダナイゼーションといったマクロテクノロジーフォースの企業における導入状況や、今後1年半~2年間にビジネスへの創造的破壊をもたらすと予測されるテクノロジートレンドについて考察する。
同レポートによれば、先進企業はテクノロジーの創造的破壊による自社へのあらゆる影響について認識し始め、社会的信頼を得る機会、および失うリスクの相反する両面についての理解を進めている。CIOは倫理性をクリアしている「エシカルテクノロジー」に着目し、ディスラプティブテクノロジー(破壊的技術)をどう使うか判断する際に、倫理上のジレンマを認識するサポートツール群を準備している。
テクノロジー戦略については、企業のビジネス戦略の中枢を担う比重が高まるとともに、より高い成果を出すことが求められている。時代の最先端にいる企業として、財務部門がアジャイルな速度でイノベーション資金を融通できるようになれば、競争上の優位性を最初に享受することになると予測する。
製品単体の販売から、製品・サービスのバンドル販売へ、または「サービス化」へ舵を切る企業では、デジタルツインの利用を加速。プロセスの最適化、データに基づくリアルタイムの意思決定、さらには新製品・サービスやビジネスモデルの設計といった用途において、デジタルツインのさらなる普及が期待される。加えて、長期的にはエコシステム全体におけるシステムやデータの統合が求められると考えられる。
ヒューマンエクスペリエンスプラットフォームにおいては、AI、人間中心デザイン、および神経学の研究分野で現在用いられている技術を組み合わせて、人間のニーズを深く理解するようになる。それにより、ユーザーの感情と、その背景にある文脈を認識し、適切に対応できるようになると予測。大規模な範囲で感情データを認識し、インテリジェントプラットフォームを駆使して感情を解析する能力は、今後の企業活動においてもっとも重要、かつ大きなビジネスチャンスをもたらす源泉の1つと指摘する。
イノベーションが創造的破壊をもたらしている市場で競争力を維持するためには、従来型の組織はアーキテクチャのアプローチを進化させる必要がある。アーキテクトやアーキテクチャに投資し、その戦略的価値を全社的に推進することで、自社のIT機能をデジタル経済市場における競争上の差別化要因に進化させることが可能になるとみている。
レポートの締めくくりでは、企業が創造的破壊の波に飲み込まれて手後れになる前に、既知のナレッジを拠り所に自組織の在り方を再考し、変革に向けた検討をすべきと訴えた。