サッポロビールと、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、11月にRTD(Ready to Drink:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)商品開発AIシステム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」をサッポロビールの開発システムとして本格実装させると発表した。サッポロビールは同システムを活用し、2023年夏以降にRTD基軸ブランドで新商品の開発を目指すとしている。
N-Wing★は、これまで商品化した約170商品で検討した配合(約1,200種)や原料情報(約700種)を含むレシピを学習していて、新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、目標とする配合の骨格をもとに原料の組合せ、各原料が商品全体の中に占める割合(配合量)まで予測。推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力するという。開発担当者はこのレシピを参考にして必要な原料を調達し、試作品の開発を行う。
同システムが提示したレシピは、AIアルゴリズムにより人間では思い浮かばないような配合が創出されることが確認できているとして、今後も新しい原料・開発情報を繰り返し学習させることでレシピ配合の予測精度向上が期待されるとしている。
また、テスト運用した結果、従来と比較して、原料検討時間は約75%削減、配合検討時間は約50%削減できることが確認できたという。加えて本格実装後、AIによる高精度なレシピ予測により試作時の手直し時間も約50%削減され、商品開発にかかる総時間が約50%削減される効果が期待できるとしている。
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