富士通Japanは、手術室の稼働率を向上し、病院経営を支援する新ソリューション「Fujitsu リソース最適化エンジン Assignment Master」(以下、「Assignment Master」)を開発し、300床以上の大中規模病院向けに提供を開始したことを発表した。
このソリューションは、手術室や手術機器、医師や看護師の予定など、手術に必要な様々なリソースを富士通が保有する最適化エンジンにより調整し、自動的にスケジュールを作成するというもの。
これを手術スケジュールの割り当て業務に適用することで、複雑で時間を要する調整作業を効率化し作業時間を95%削減するほか、スタッフの経験値に依存しない割り当て業務の標準化を可能にするという。同社は2025年度末までに、70医療機関への導入を目指すとしている。「Assignment Master」の特長としては以下の通り。
手術スケジュールの割り当て業務を自動化し、作業時間を大幅に削減
新たに手術の予定を登録する際、手術部では各曜日ごとに手術室の使用が優先される診療科、使用する手術機器の個数や手術室に固定されている特定の機器の設置有無など、制約条件を考慮する必要があるという。
「Assignment Master」では、これらの制約条件を予め設定しておくことで、富士通独自開発の最適化エンジンが優先度の高い制約条件を満たすよう調整を行い、手術に必要なリソースを最大限に活用できる手術スケジュールを数十秒で自動作成する。
調整作業を行うスタッフは、医師が電子カルテシステムに入力した手術日や手術室への入室時間、所要時間の情報と、使用する機器の空き状況や看護師の勤務状況などの条件を照らし合わせることなく、自動割振ボタンをワンクリックするだけで複雑な条件を考慮した手術スケジュールを容易に作成することが可能だ。
これにより、従来手動で行っていた調整作業の時間を約95%削減できるため、スタッフの作業負担を軽減するとともに、医師や看護師の割り当て重複を未然に防ぐことができるという。さらに、調整作業に不慣れな経験の浅いスタッフでも容易にスケジュールを作成できるため、経験値に依存しない割り当て業務の平準化を支援する。
手術室の稼働率向上を実現し、病院の経営改善を支援
手動による調整作業では、複雑な制約条件を満たすスケジュールの作成が困難であったことから、調整次第では並行して実施できるはずの手術が別の時間帯に割り当てられ、手術室の空きが発生してしまうといった問題が起こっている。
今回のソリューションを活用することで、手術室の無駄な空きを防ぎ効率的に稼働させることが可能となるため手術実施件数の増加が見込めることから、経営改善を支援するとともに、良質な医療サービスの提供に貢献するとしている。
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