SAS Institute(以下、SAS)は、地域、業界、テクノロジー、専門分野にわたる23部門の「SASハッカソン2023」の受賞者を発表した。
2023年は、世界75ヵ国の1,400人以上から参加申し込みがあり、最終的に140の組織から100チーム以上が参加。審査は地域、業種、テクノロジー、専門分野別に行われ、受賞者は、ハッカソンに参加した世界各地の企業、大学、政府、およびSASパートナーから選ばれたという。
総合優勝者の発表は、SASのAI・アナリティクステクノロジーカンファレンス「SAS Explore」において行う予定。同カンファレンスは、9月11日から14日に、米国ラスベガスで開催されるとしている。
SASハッカソン2023の受賞者
地域別受賞者
- アメリカ大陸 – 強制労働の廃止(米国):「SAS Viya」などのツールを利用して、国、業界、商品別に強制労働の調査ができるビジュアルダッシュボードを開発した
- アジア太平洋 – JaWaRA(インドネシア):SAS ViyaとSAS Analytics for IoTを活用し、集中型・統合型の洪水制御システムを開発した
- EMEA – EPAM & Linktera4Good(トルコ):リソースを効果的に配分し、意思決定プロセスを合理化するモデルを開発。SAS Viyaとオープンソースツールを採用し、ソーシャルメディアのデータと検証可能な衛星画像を組み合わせることで、災害対策従事者向けにリアルタイムで検証された情報を生成する
業界別の受賞者
- 金融 – Santander(米国):銀行口座の取引と連動したオンラインのカーボン・フットプリント追跡ツールを構築。SAS Viyaとその機械学習機能を利用して、取引の加盟店カテゴリーコードをS&P GlobalのESGスコアやその他の調査と紐づけるモデルを作成した
- エネルギー – The Insight-O-Meters(米国&アジア太平洋):電力会社のプロセスを改善し、利用状況を把握することで、顧客への情報提供に役立てるためのソリューションを構築した
- ヘルスケア&ライフサイエンス – AIが生成したヘルスケアに関する合成データ(オランダ):ヘルスケアに関する合成データを生成。SAS Viyaにより、合成データが実データと遜色なく、モデルの開発に適用可能であることを検証した上で、がん研究に関連する予測を行うための分析を行った
- 保険 – StaSASticians(米国):SAS Viyaとオープンソースツールを利用して、投資を考える一般人がより良い情報を得られるように、ESG要素について調べるダッシュボードを開発した
- 製造 - Team Notilyze(オランダ):オランダのチーズ工場のデータを分析し、SAS Viyaを利用することで、チーズ生産プロセスの構成要素を調査するダッシュボードを設計。これらをベースに生産量を予測するモデルを構築し、生産過程の調整を提案するAPIを開発した
- 公共利益 – JaWaRA(インドネシア):「地域別受賞者」を参照
- 小売 – Fair Factories Clearinghouse(米国):企業がESGの高リスク分野を調査し、リスク軽減の優先順位を決定するために役立つ、標準化されたソリューションを開発した
- 通信&ニューメディア – ML Jokers 2.2(セルビア):「Intelligence for Workspace」プロジェクトは、オフィスに設置されたIoT機器から、温度、湿度、二酸化炭素、揮発性有機化合物などのデータを収集・分析。SAS Viyaを活用することで、エネルギー消費を最適化しつつ、より快適で健康的な職場環境を従業員に提供できることが確認された
グローバルテクノロジー分野別の受賞者
- コンピュータービジョン – Critical Thinking Crew(日本):モバイルアプリとWebカメラを使って、ユーザーの姿勢や心拍数を監視・評価するサービスを開発。SAS ViyaとSAS Cloudの機能を利用したセルフモニタリングアプリの活用により、孤独死を防止することを目標とする
- アプリファクトリークラウド – The Insight-O-Meters(米国&アジア太平洋):「業界別の受賞者」を参照
- 予測 – algoWatt(イタリア&米国):再生可能エネルギーコミュニティの計画、設計、運用のための意思決定支援ツールの開発に焦点を当てた
- インテリジェントな意思決定 - Linktera4Insurance(トルコ):災害リスク通知製品(CARNOS)は、SAS ViyaとSAS Intelligent Decisioningを利用して、ソーシャルメディアなどを発信源とするニュースを分析。詳細情報(場所や被害状況など)をまとめたビジュアルレポートとアラートにより保険業界の顧客に通知することで、影響を受ける可能性のある契約者の数などを判断できる
- IoT – REDE(カザフスタン):製造業や鉱業における設備利用の最適化に役立つデジタルツインを開発した
- 機械学習 – JaWaRA(インドネシア):「地域別受賞者」を参照
- 自然言語処理 – EPAM & Linktera4Good(トルコ):「地域別受賞者」を参照
- 可視化 - Butterflies(英国):SAS ViyaをはじめとするSASテクノロジーを利用して、グリーンエネルギー適性評価ツールを開発。位置情報や、家の方角、天候などのデータを用いて、ユーザーが検討すべきグリーンエネルギーの種類を提案する
グローバル特別賞
- チャネルへの展開 – Fair Factories Clearinghouse(米国):「業界別の受賞者」を参照
- 学生・若手人材 – (⌐■_■)(サングラス)(ポーランド):ソーシャルメディアのコンテンツを評価し、ボディシェイミング(他人の体形をけなすこと)のような悪意を持った書込みや言動を検出する機械学習モデルを構築
- サステナビリティ – The Insight-O-Meters(米国&アジア太平洋):「業界別の受賞者」を参照
- 信頼できるAI – IN STEPIN STEP(savINg liveS fightTing nEonatal sePsis)(ポルトガル):新生児敗血症における早期の診断と治療に役立つモデルを開発。敗血症を正確に予測することで、医療チームが治療により多くの時間を割けるようにした
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