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レジリエンシーを重要視するも現状とギャップ──SAS調査レポート

 SAS Institute(以下、SAS)は、レジリエンシー(回復力)に関するグローバル調査を企業のエグゼクティブ2,414人(そのうち日本の回答者は249人)に対して実施し、その結果を発表した。

調査の対象者と結果

 同調査は、従業員100人以上の企業におけるエグゼクティブが対象。回答者のうち、70%が自国経済の将来について楽観的であり、現在、80%がレジリエンシーの計画や戦略に投資していることがわかった。

 しかし、同調査を通じて、エグゼクティブがレジリエンシーを重要視していることと、実際に組織がどの程度レジリエンシーを備えているかとの間に、ギャップが存在することが明らかになったという。

 日本においても同様のことがいえるとして、日本のエグゼクティブの87%は、レジリエンシーを非常に重要、または少なからず重要と考えているにも関わらず、自社がレジリエンシーを備えていると考えている割合は27%に留まっている。世界のエグゼクティブと同様、期待と現状の間にギャップが生じているという。

 現時点ではギャップが存在しているが、ビジネスリーダーの74%は、自社のレジリエンシーの構築に自信をもっており、適切な助言が得られればギャップを解消できると考えている。一方、日本のビジネスリーダーの71%は、自社が効果的なレジリエンシー戦略を実装するには、ガイダンスが必要であると認めているとした。

5つのレジリエンシー・ルールとデータ・アナリティクスの必要性

 SASは、ビジネス・レジリエンシーを維持・強化するために必要な5つのルールを明らかにした。

  1. スピードと機動力:市場の状況の変化に迅速に適応する
  2. イノベーション:データ主導のインサイトを通じて、進歩を加速させる
  3. 公平性と責任:革新と並行して、転換的テクノロジーの設計、開発、利用において倫理的基準を確実に適用する
  4. データカルチャーおよびリテラシー:組織全体にデータリテラシーを浸透させるデータドリブンのフォーカスを構築する
  5. 好奇心:調査の力を活用し、イノベーションと影響力を促進するインサイトを導く

 同調査では、5つのレジリエンシー・ルールによって、エグゼクティブがそれぞれの分野にどのように優先順位をつけ、実行しているかを調査したという。

 日本のエグゼクティブは、レジリエンシー・プランニングでは5つのルールすべてを考慮することが重要だと考えていることが明らかになり、日本企業は、1つのルールを優先するために別のルールを犠牲にすることを避けるべきであると考えられる。5つのルールの中では、「スピードと機動力」が競争力維持のために「最も重要」とみなされているという。

 また、同調査から得られた重要なポイントとして、レジリエンシー・ルールの実装においてデータとアナリティクスが果たす重要な役割が挙げられる。日本のビジネスリーダーの80%以上が、レジリエンシー・ルールの実装にはデータとアナリティクスが不可欠であると回答した。

 世界のレジリエンシーの高い経営者のほぼ全員(96%)が、意思決定に必要な情報として、社内外のデータとアナリティクスを利用しており、これは変化を乗り越え、事業継続を確保するための重要なポイントとなっている。また、世界のレジリエンシーの高い経営幹部は、レジリエンシーの低い経営幹部よりもデータツールを導入しているという。

レジリエンシー指数を導入

 同調査においてSASは、エグゼクティブの優先事項や投資対象として、レジリエンシーがどのような位置づけにあるかを把握するため、レジリエンシー指数と呼ばれる評価手法を作成。回答者を3つのカテゴリーに分類した。

  • 高レジリエンシー:26%(世界)/9%(日本)
  • 中レジリエンシー:54%(世界)/46%(日本)
  • 低レジリエンシー:20%(世界)/45%(日本)

 それぞれのビジネス慣習を比較すると、レジリエンシーの高い経営者は、構造化された戦略を持つことは、混乱に対処するだけでなく、ビジネスの安定に一役買っているため、不可欠だと考えている。レジリエンシー戦略は、雇用実績や消費者からの信頼などの主要なビジネス指標にも影響を与えるという。

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