コミューンと日経リサーチは、国内企業に勤めるビジネスパーソンの内、顧客と接点を持つ業務に従事している人を対象に、コミュニティ施策に関する調査を実施した。
コミュニティ施策とは、企業と顧客、または顧客(ユーザー)同士のコミュニケーションの場を作る施策の総称。SNSでの顧客との相互コミュニケーションや、会員限定の施策、オンラインコミュニティやユーザー会などのオンライン・オフラインの取り組みなどを指すという。
コミュニティ施策に「興味がある」「導入を検討している」「過去取り組んだことがある」「実際に取り組んでいる」人の合計は67.2%。そのうち、コミュニティ施策経験者(実際に取り組んでいる・いた人)は37.9%
コミュニティ施策について、「実際に取り組んでいる」と回答した人の割合は27.7%、「過去に取り組んだことがある」を含めると37.9%となった。一方で、コミュニティ施策について「まったく知らない」という回答は4.8%に。コミュニティ施策に「興味がある」と答えた人は19.8%で、導入を検討している人は9.5%だった。現状導入するまでには至っていないが、興味がある、または導入を検討している層は約3割に上ることがわかった。
また、コミュニティ施策のなかで「オンラインコミュニティ」に興味がある人は30.6%だったという。
回答者が勤務する従業員規模別では、どの層においても「実際にコミュニティ施策に取り組んでいる」人が3割近くとなった。従業員規模に関係なく多くの企業で顧客との接点としてコミュニティ施策が既に認知・活用されていることがわかるとしている。
コミュニティ施策に興味をもったきっかけの最多理由は「顧客のニーズ、インサイトを拾う仕組みの重要性を感じたから」が54.0%。次いで「顧客との関係性構築が重要な経営、マーケティング課題に挙がったから」が49.8%
「興味をもっている」から「実際に取り組んでいる」までを選択した人に、興味をもったきっかけを聞いたところ、最も多かったのは「顧客のニーズ、インサイトを拾う仕組みの重要性を感じたから」の54.0%で、次いで「顧客との関係性構築が重要な経営、マーケティング課題に挙がったから」の49.8%だった。顧客とより良い関係を築き、顧客の声を直接商品や事業に反映しようという企業姿勢がうかがえるという。
コミュニティ施策に期待する効果で最も多かった回答は「継続的にアプローチ可能な顧客基盤の構築」で59.6%。次いで「商品・サービスを取り巻く顧客インサイトの発見」が57.0%
コミュニティ施策を実施する上で期待する効果を聞いたところ、「継続的にアプローチ可能な顧客基盤の構築」が最多で59.6%、次いで「商品・サービスを取り巻く顧客インサイトの発見」が57.0%となった。「顧客との継続的なコミュニケーション手段」としてコミュニティ施策が注目され、企業側が伝えたい情報を一方的に伝える手段としてではなく、双方向のコミュニケーションの場として、顧客の生の声(インサイト)を取得することも重要な目的として利用されていることがわかる。
コミュニティ施策の導入に対する不安は「費用対効果」56.8%が最多。次いで「コミュニティ運営の知見がないこと」が43.4%
一方、コミュニティ施策導入に対して感じる不安について聞いたところ、最多は「費用対効果」で、次いでコミュニティ運営に対する不安や社内のリソース不足が挙げられた。コミュニティ施策が「顧客ニーズ・インサイト収集」や「顧客との関係性構築」を可能にする手段として注目されている一方で、どちらも数字で成果を測りづらい分野であることから、企業として取り組む上で合理的な判断に悩んでいる人が多いことがわかるとのこと。また、コミュニティ施策は新しい分野のため、知見のあるプロフェッショナルのサポートが求められていることがうかがえるという。
コミュニティ施策を開始した時期は、新型コロナウイルス感染症の拡大が本格化した2020年以降が49.6%
コミュニティ関連施策の中でも特に「オンラインコミュニティ運営」「アンバサダープログラムの実施」「社内向け(インナー)コミュニティ」の3つの施策を実施している人に対して、施策の開始時期を聞いたところ、2020年以降が49.6%と、新型コロナウイルス感染症の拡大が本格化してから急増していることがわかったとしている。
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