カミナシは8月27日、現場従業員管理システム「カミナシ従業員」の提供開始を発表した。
同社は2016年に設立された現場DXを推進するスタートアップ企業で、「現場で働くノンデスクワーカーの才能をデジタルの力で解き放つ」をミッションに掲げている。
今回発表された「カミナシ従業員」は、会社と外国人従業員を含めた現場従業員間の業務連絡や情報共有、書類のやり取りを一つのサービスで完結できるシステム。業務上のコミュニケーション、シフトの交換連絡、外国人従業員の生活サポート、給与明細の配布などが一つのサービスで実現できる。
深刻化する人材不足と多様化する雇用形態
同社代表取締役CEOの諸岡裕人氏によると、開発した背景には、深刻化する人材不足と多様化する雇用形態がある。カミナシが実施した現場の実態調査によると、企業は人材不足に対して現在は正社員の採用強化を最優先しているものの、今後はパートやアルバイト、外国人労働者といった多様な人材の活用も同様に重視する傾向が見られた。
「企業の現場ではパートやアルバイト、外国人従業員など多様な人材が多いことから、情報伝達がうまく行われず、必要な書類もタイムリーに授受できない。さらに外国人従業員とのコミュニケーションはお互い伝えたいことが伝わらない。だから業務をスムーズに完結できない。」(諸岡氏)
これらの課題は、現場従業員の特性に起因するものが大きいという。現場従業員は業務上パソコンなどのデジタルデバイスを使用しないためメールアドレスを持たず、シフト制で勤務時間がバラバラなため、情報伝達に苦労しているのが実情だ。
カミナシの調査では、現在でも8割以上の現場で早期戦力化や定着率の向上に課題を感じているという結果が出ているという。
新製品開発責任者の加古萌氏は、「外国人を含めた現場従業員の戦力化や定着には、現場の管理者、あるいは総務部門だとオフィスの人たちと現場の従業員が、情報をスムーズにやり取りできる仕組みが重要」と語り、以下の特徴を強調した。
- 1つのサービスで、現場管理者・総務部門と従業員間のあらゆる情報のやりとりを一元管理できる。
- 専用のIDとパスワードで利用できるためメールアドレス不要、アルバイトやパートタイマーなど全ての従業員が利用可能。
- 日本語を含む14言語に対応しており、外国人従業員とのコミュニケーションを円滑化する。また、翻訳精度を高めるための「AI校正機能」も搭載予定。
「カミナシ 従業員」は、2026年7月までにユーザー数10万人を目指し、今後の展開として機能開発を推進し現場従業員の入社から退社までの各シーンにおけるマネジメントの非効率を解消していくという。さらに今後、「作業方法」「人」「設備」の3つの領域を軸に、「カミナシ 設備保全」や「カミナシ 教育管理」などの新製品の開発・提供を進めていく予定だという。