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Salesforce「Agentforce 2.0」発表 Slackへ展開が可能、25年2月に提供へ

 米国時間2024年12月17日、米国Salesforce(以下、Salesforce)は、Agentforceの最新バージョンである「Agentforce 2.0」を発表した。

 Agentforce 2.0は、業務フローの中で自律型AIエージェントをチームへ拡張するAIシステム。AIエージェントのSlackへの展開、事前作成済みスキルの新たなライブラリ、エージェンティック推論能力と検索拡張生成(RAG)が強化されたという。

AIエージェントスキルライブラリ

 Agentforce 2.0では、CRM、Slack、Tableau、パートナーが開発したAppExchangeにわたり、事前作成済みのAIエージェントスキルのライブラリを導入。MuleSoftを使用し、システムやワークフローにAgentforceを拡張できるようになったとしている。また、Agent Builderを強化し、自然言語の指示でAIエージェントの要素を自動生成する機能も備えているという。詳細は以下のとおり。

CRMスキル:AIエージェント主導のカスタマーエクスペリエンス

 「Sales Development」「Sales Coaching」を提供。企業が独自に定めたルールに基づいて見込み客を育成したり、顧客との会議に参加して商談に関するフィードバックをリアルタイムに提供したりするAIエージェントを構築できるとのことだ。営業担当者がより高い成果を上げられるよう支援するという。また、マーケティングキャンペーンやEコマース事業者向けスキル、サービスエンゲージメントのスケジュール調整スキル、フィールドサービスワーカー向けのスキルも提供するとしている。

MuleSoftによるアプリやワークフローへの対応

 MuleSoftにより、Agentforceがビジネス全体で業務を遂行できるようになったという。「MuleSoft for Flow」は、システムを跨ぐローコードワークフローを容易に作成でき、事前作成済みのコネクタで複数システムのワークフローを作成することも可能。また、新しいMuleSoft APIカタログにより、Salesforce、MuleSoft、Heroku、外部サービス全体でAPIの表示、検索、管理が一元化されるとのことだ。

 加えて、「MuleSoftトピックセンター」を活用し、AgentforceのメタデータをすべてのAPIに組み込み、接続ポイントを自動的にAgentforceのスキルやアクションに変換できるという。これにより、すべてのAPIがデフォルトで「AIエージェント主導型」となると同社は述べている。

Tableauスキル:分析とインサイト

 新しいTableauトピックとアクションにより、データビジュアライゼーションと予測分析が可能になるという。これにより、データアクセスのハードルを低減するとのことだ。

Slackスキル:チャンネルや会話でのエンゲージメント

 「Agent Builder」で「Slack Actions」が利用可能に。これにより、プロジェクトの最新状況を要約してDMで送信したり、進行中のプロジェクトに顧客から変更の依頼があった場合に「Slack canvas」を更新したりするAIエージェントを追加できるようになるとしている。

AppExchangeを通じたパートナースキル

 顧客はAgentforceをカスタムトピックやアクションで拡張でき、Workdayの「AI Employee Service Agent」などの新しいタイプのエージェントから、「Asymbl」「Docusign」「Neuron 7」といったパートナーが構築した新しいアクションまで活用できるという。

Agentforceが必要な作業に適したスキルを推奨

 自然言語で業務内容を記述するだけで、数秒で新しいAIエージェントを構築できるとのことだ。Agent Builderは、Agentforceを使用して関連するトピックや指示を自動生成し、既存のスキルやアクションのライブラリから情報を取得。必要な作業に適した新しいAIエージェントを構築するという。

Agentforce in Slack

 Agentforce2.0はSlackに導入可能。顧客ごとにカスタマイズできるデジタル労働力を、ダイレクトメッセージ(DM)やチャンネルに展開できるとのことだ。詳細は以下のとおり。

  • メッセージやチャンネルにAgentforceを導入:AgentforceをSlackの会話へ導入できる。Slackユーザーは、Agentforce Hubから直接会話を開始したり、DMやチャンネルでAIエージェントを@でメンションしたりすることが可能
  • Slack ActionsをAgent Builderに追加:AI Agent Builderには、「canvasを作成」「チャンネルにメッセージを送信」などの新しいSlack Actionsが備わっている。チームは、既存のAIエージェントを強化したり、Slackでチームと容易に連携できる新しいAIエージェントを作成したりできる
  • エンタープライズ検索における会話のコンテキストを活用:AIエージェントはSlack上での会話データを利用でき、応答やアクションの関連性を高められる

複雑な質問に専門的な回答を提供

 Atlas推論エンジンは、データとコンテキストの検索、推論、アクションを行うという。Agentforce2.0では、高度なニュアンスをともなう質問に対応する、Data Cloudの機能で強化された推論と検索が導入され、従来以上のコンテキストが提供されるとのことだ。これにより、構造化データと非構造化データをビジネス固有のメタデータで補完し、複雑なリクエストに対してより正確な回答を提供できるとしている。詳細は以下のとおり。

データ検索(レトリーバー)による推論の強化

 AgentforceのAtlas推論エンジンは、幅広いインタラクションを処理することが可能に。たとえば、「私のポートフォリオの状況は?」というような単純な質問には基本的な推論機能を利用して回答する一方で、「私の現在の収入とリスク許容度を考慮した場合、子供の大学の資金として適切な投資手段は何か?」といった複雑な質問には、高度なデータ検索を使って強化された推論機能が使用されるという。Data Cloudから関連データとコンテキスト固有のメタデータを抽出する前にクエリを精製することで、回答の精度が向上するとのことだ。

 Atlas推論エンジンは自ら回答を評価し、「エージェントループ」と呼ばれるツールやソースをループするプロセスを実行。ニュアンスを含む複雑なリクエストに対しても、分析された回答やアクションを、カスタムコードを書くことなく提供できるとしている。

検索拡張生成(RAG)の強化

 RAGにより、非構造化コンテンツから関連情報を検索することが可能に。Atlas推論エンジンの推論能力を強化するため、Data CloudはRAGチャンク(取得データの断片)にSalesforce Platformのメタデータを追加できるようになったという。

 メタデータのコンテキストでRAGインデックスを強化することで、追加作業なしで顧客企業のビジネス独自の慣習に適応し、複雑なリクエストに対しても回答の精度と関連性を向上させるとしている。また、Agentforceが質問へ回答するために取得したソースを示すインライン引用により、信頼性も高まるとのことだ。

 Agentforce 2.0のリリース完全版は、2025年2月に一般提供開始予定。特定の機能は先行提供されており、日本での提供開始時期は未定だという。

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